社会保障ハンガリーでは社会保障を受けるためにTAJ(Társadalombiztosítási Azonosító Jel)という社会保障番号が割り当てられます。番号を持った個人にはTAJカードが配られます。学生や労働者は無料、それ以外の人でも月9,600フォリント(約4000円)で利用することができ、ハンガリー国民以外にも、政府による奨学金を受給している学生、ハンガリー籍の会社で雇用されている労働者も利用が可能です。このTAJカードは日本でいう保険証のように本人証明として病院や薬局での医療サービス利用時や年金保険に関する行政手続きなどに使われます。 税法表はOECD諸国とハンガリーの税収を比較したものです。見てわかる通り、法人税の割合が低い代わりに消費税と個人・法人両方に課される社会保険税の割合が大きくなっています。こんにちは!ハンガリーでは朝晩は息が白くなるくらいの寒さです。授業でワールドワイドな法的環境について学んでいるのですが、税法に関していくつか面白い仕組みを学まず法人税に関しては、2023年現在9%とOCED38か国内で最も低いです。それが理由か、ブダペストは大企業の中央ヨーロッパオフィスを構えるエリアとして活用されています。コンサルティングファームや自動車メーカー、銀行含む金融サービスなどが特に多い印象です。これらは地理的なメリットの享受と高い利益率を低税率によって実現するためであると考えられます。一方、社会保険は日本では雇用主と労働者で折半する仕組みですが、ハンガリーでは雇用主が労働者に支払った給与に対して13%、労働者が18%をそれぞれ支払う仕組みです。労働者側には扶養している子供の数による控除を受けていない場合、最大3%まで減免の措置があります。んだので、強く関係している社会保障と併せてレポートしていきます。社会保障の詳しい内容としては、上記した健康保険や年金の制度に加えて失業保険があります。また、国や地方自治体による家族サポートのための補助金制度なども存在しています。日本では予算の内訳は国庫負担の割合が多いですが、ハンガリーでは社会保険料とその他税金のみが財源となっています。国庫負担分を賄うために国が紙幣を発行すれば通貨価値が下がり、紙幣発行をしなければ国民の税負担はより重くなるため、どちらも一長一短の仕組みであると感じます。個人所得に対する税率は日本のような累進課税制度ではなく、一律で15%とされています。その中でも、特定の年齢や立場の人にはその他の税率が適用されています。特徴的なものを3つほど紹介します。1つ目は25歳以下の若者に対して所得税がかからないというものです。これは留学生や移民にも適用されており、私の通っているビジネススクール内にはその制度を有効活用してビジネスを行っている人がたくさんいます。2022年の1月から始まったとても新しい施策のようで、現地でも知らない方がいる印象です。2つ目に、扶養している子供の数によって家族に一定の控除措置があります。1人から増えていき3人で限度額の月額控除220,000フォリント(約94,600円)に達します。最後に、ハンガリーでは特に母親に対するサポートが手厚く、4人以上の子供がいるもしくは子供を育てた女性は生涯個人所得への課税を完全に免除されます。30歳未満の母親に対しても月ごとの課税最大額が設定される減税措置が採られています。9小野 臣仁 インターナショナルビジネススクールブダペストハンガリーの社会保障と税法
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