THE NEWZ Vol.14 日本語
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最後にイタリアやイギリスでは日本*と対照的に医療費がかからず、魅力的な部分ではありますがその点問題も多いようです。ただ、日本の医療制度においても、イタリアのように緊急性のある検査や診察について、待ち時間の短縮や効率的な予約システムの導入が イタリアの医療事情や制度について実際にイタリアに移住をしたことはないですが、気になったのでイタリアの医療制度を調べたり、イタリアの友人に聞いたりしてみました。*日本の医療制度については、2022年11月号にイギリスと日本の医療制度の違いをまとめたのでそちらを参照してください求められています。さらに、国民の健康を守るために公的な医療制度が強化される一方、私立医療機関の価格設定や透明性についても検討が必要です。イタリアではイギリス同様、医療費が無料です。イタリアでは、パスポートを持っているイタリア人だけでなく、イタリアで正式な手続きにおいて働いて税金を払っている人、又その家族は、誰でも医療費が無料です。入院したとしても、食事代や入院費は無料です。この背景にはカトリック教会のポリシーが関係してくるようで、「病人、怪我人は助けてあげないといけない」という哲学から、医療費は無料なようです。また、イタリアではホームドクター、いわゆるかかりつけ医制度があります。 イタリアで、病気や怪我をした場合、まずは、自分の登録したかかりつけ医に診てもらいます。 そこで、さらに治療や診察が必要となった場合は、処方箋や紹介状を書いてもらって、専門医を受診することになります。 しかし、医療費が無料とはいえ様々な問題があるようです。まず第一に「無料だけど、当日診てもらえない」ことがしばしばあ  るようです。ホームドクターは、自分の担当医として決められますが、 医者は最大1500人の国民の担当を受け持っています。1日(受診受付は大抵半日)で診られる患者は 約10-12人ですので、 風邪をひいて、具合が悪いのに、当日に診てもらえない場合が多いようです。また、救急病院だとしても、4、5時間待つのが一般的なようです。第二に、検査も半年待ちなど待ち時間が非常に長い現状があります。検査や専門的な診断が必要な場合、ホームドクターは患者に専門医や病院を紹介することが一般的です。しかし、検査の予約に関して、公立の医療施設では待ち時間が発生し、予約が難しい場合があります。そのため、緊急性のある検査を受けるためには、私立病院を利用することが一つの選択肢となりますが、費用は高額なようです。そのため、イタリアではあまり病院にかかることはないそうです。これはイギリスと似ています。イタリアではインフルエンザで高熱が出ても、家でひたすら寝る策をとるようです。イタリア人にとって病院は、どうしても仕方ない時、家でひたすら寝てもどうしようもない時に頼る最終手段なようです。8

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