ハンガリーと日本の抗菌薬耐性への対策WHOはこの問題を解決することを現在最優先の課題の1つとしている。そのため、2015年の世界保健総会でAMRに関する世界行動計画を採択した。それにより、日本やハンガリーを含む全加盟国はAMRに対する国家行動計画を早急に完成させることが求められた。 最後に耐性を増加させる最も大きな要因は抗生物質の誤用と過剰使用である。WHOは近年AMR対策に重点を置いているが、国民のひとりひとりが行動を起こさない限りこの問題は一向に改善していかない。誤用や過剰使用の多くは薬を処方された患者によるものである。症状が治ったからといって薬の服用を中止した経験があるのではないだろうか。しかし、細菌はまだ体内で生きている可能性が非常に高いのである。そうして誤用を繰り返すことによって耐性というものは少しずつ進行していく。ただ、この問題は単純に解決できるものではない。なぜなら、この問題の背景には、根本的な問題が多く存在するからだ。例{ハンガリー}ハンガリーはEU加盟国であることから、EUが作成した戦略的行動計画に基づいて政策を行うこととなった。また、WHOのEU支部がハンガリーのAMR対策や現状を評価しフィードバックすることによって包括的に行動を進めている。{日本}厚生労働省はWHOの決定に伴い、具体的な目標を掲げている。WHOの世界行動計画に沿った内容を多く含むが、それに加えて日本はアジア圏のグローバルな対策の強化をするという役割を担っている。というのも、G7で唯一のアジアの国であることからアジア地域でのリーダシップ強化が求められているのだ。下の写真は日本が作成した行動計画の簡易版である。えば、医師不足や専門家の教育システムの不備などである。重要なのは、早急に解決することではなく、進行を遅らせる必要があるというところに私はあると思う。10
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