はじめにこんにちは、ウィーン大学に派遣留学中の新垣です。オランダを筆頭として、ヨーロッパの国々の多くは日本と比べて大麻に対してオープンなイメージはありませんか?実際 大麻に関する現在の法的現状大麻に関する主な法律として、麻薬取締法Suchtmittelgesetzが挙げられます。同法は、麻薬の濫用防止と国民の健康確保を目的とし、向精神薬の取り扱いの規制を明示しています。またこの場合の向精神薬とは、中枢神経への刺激や減退を引き起こすあらゆる物質を指しており、幻覚や運動能力、思考、行動、知覚そして気分障害を含んでいます。そしてこれらの物質のグループの一つとして、植物から花や樹脂を分離してTHCという向精神物質を得る大麻があります。そのため、オーストリアでは麻薬を得ることを目的とする栽培や所有、販売や輸出入が禁止されています。また、2022年の7月18日には、憲法裁判所Verfassungsgerichtshofはオーストリアにおける大麻禁止の廃止についての申請を取り下げています。そのため、依然として大麻は非合法です。合法化には、連邦政 大麻ショップしかし、実際にウィーンの中心街を歩いていると、特徴的な大麻マークを冠した大麻ショップを簡単に見つけることができ、店内は、若い世代を中心に多くのお客さんで賑わっています。また道路で人とすれ違う際も、大麻特有の甘い匂いに気が付くことがあります。なぜ、このような状態が生じているのでしょうか?大麻ショップの運営と製品の販売が合法である理由として、同ショップではTHCを含む製品は売られておらず、その生産や摂取に関する推奨や情に、ヨーロッパ諸国では医療目的としての大麻の使用が進んでいます。そこで今回は、医療用大麻の背景にある、オーストリアでの大麻の実態について詳しくご紹介します。府の立法的決定が必要とされますが、現在連立政権を構成する国民党と緑の党はそれに対し反対の立場にあります。一方で、同法には例外があります。それは、認可を受けた業者、薬局、化学研究機関による園芸用、医療用、商業目的の栽培(繊維と種子に限る)です。このように合法的な認可がある場合は、大麻の所持は認められることになります。(それらは厳格な管理状態下にも置かれていますが。)しかし、この例外的栽培に関する法内容は、曖昧な部分を含んでいます。まず、大麻を生み出す植物の苗自体にはほとんど中毒性の原因となるTHCが含まれておらず、花が咲いてやっと生成されます。つまり、花を咲かせない限り栽培は合法であり、麻薬の製造のために行われるに限りそれは犯罪とされるのです。報も提供されていないことが挙げられます。そこで販売されているのは、THCとは違う物質CBDを有するエキスやお茶などです。CBDは、精神作用や中毒性がない物質として知られています。CBDの取引は禁止されていないため、EUで合法的に栽培された大麻によるCBD製品が並べられています。また最近、CBDはEUの公式医薬品リストとしても認定されました。11 新垣 春佳 ウィーン大学オーストリアにおける大麻使用について
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