日本とカナダの出生率妊娠・出産、育児を、昔から何となくいつか訪れる人生の一大イベントとして考える方も多いかと思います。もちろん、男性にとっても父親になることは大きな変化ですが、生理的な側面から見れば、「お母さんになる」という経験は、何か特別なものです。日本でも地域社会の人間関係が疎遠になり、少子化が進展する中、妊娠や出産、育児といった状況はここ数十年で大きく変わっています。昔ながらのお節介おばさんや子どもの楽園であった公園も、遊具が取り払われるなど時代の変化が感じられます。産休・育休明けに職場に復帰する女性も増え、待機児童問題や保活などが注目を集めています。そんな中、「海外での出日本の出生率は近年低下傾向にあります。経済的な要因や働き方の変化、結婚適齢期の後退などが影響しています。2020年時点での日本の出生率は、人口千人当たりおおむね10人未満(約8人程度)とされています。カナダの出生率は、一般的に比較的高い水準にあります。カナダは多文化な国で、産&育児」に憧れる人も少なくないでしょう。子どもが知らず知らずのうちに複数の言語を操り、国際色豊かな環境で成長する姿は、なんとも素敵だと思います。カナダで出産・育児を経験する日本人女性の中には、実の家族が手助けできず、頼れる友達も限られているという方が多くいます。夫の家族が近くにいても、文化の違いから来る気遣いが難しいこともあります。また、駐在員の夫が多忙で頻繁に出張することもあり、言葉の壁という要因も加わります。これらが積み重なり、日本での妊娠・出産・育児が既に大変なのに、異国で経験するとそのストレスや不安はさらに増すことでしょう。移民の存在も大きいため、異なる文化や価値観が影響している可能性があります。2020年時点でのカナダの出生率は、人口千人当たりおおむね10人以上(約11人程度)と見積もられています。7太田拓実 ブリティッシュコロンビア大学妊娠と出産
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