ATAPs(地域保健ワーカー “プラス”)とは まとめタリカのヘルスケアモデルを際立たせているのは、1990年代に導入されたEBAIS(Equipo Básico de Atención Integral en Salud)です。このシステムは、地域のプライマリー・ヘルスケア・チームから構成され、医師、看護師、地域のために働く医療従事者から成り立ってます。医療従事者は、担当する地域の各世帯を毎年訪問し、その地域の需要を評価します。そして彼らが収集したデータは、電子カルテと組み合わされ、今後の目標の設定、進捗状況の追跡、医療リスクの高い地域への資源を集中させるために利用さ ATAPs(地域保健ワーカー “プラス”)は、EBAISのチーム内で特に責任の大きい役割を担う医療従事者を指します。彼らは、リスクの高い患者を優先して定期的に診察所と患者の自宅でサービスを提供します。優先度が一番高い家庭(一人暮らしの高齢者、慢性疾患のコントロールができない人、妊娠のリスクが高い人、その他のリスクが高い人が住む家庭)には、年3回訪問し、中程度のリスクを持つ家庭は年2回、リスクが低い家庭は予防的な訪問を年1回受けることができます。また、ATAPsは、家族ファイルと呼ばれるもので各家庭の健康情報を収集します。これは、 コスタリカは地域、コミュニティを中心とした医療によってヘルスケアシステムがうまく成り立っています。自宅、教会、クリニックでしっかりと指導や治療を受けることが国民の安心感に深く繋がっていると感じました。日本ではれます。 EBAIS導入初期には、都市中心部に拡大する前に、国内で最も医療サービスが行き届いていない農村部にチームが派遣されました。これにより、国は人々の生活環境を含む健康の決定要因に関する強固な情報システムを構築することができました。数十年にわたる農村地域保健プログラムの経験を基に構築され、コスタリカの医療提供の文化を変えたと言われているこのシステム。さらに詳しく見ていくと興味深い仕組みがありました。予防接種記録などの患者の履歴を管理するのに役立っており、退院後の訪問や、地域社会の健康決定要因の追跡を可能にします。このシステムが導入されてから、伝染性疾患による死亡者数は1990年の人口10万人当たり65人から2010年には4.2人までに減少しました。また、妊産婦死亡率と小児死亡率は1995年以降減少が続いています。医療サービスに対する家計支出も過去10年間で他のラテンアメリカ諸国に比べて劇的に減少し、民間医療費の割合がラテンアメリカ諸国の平均58%のところ、コスタリカではわずか25%にとどまっています。労働力不足が原因となり、地方では十分に満足のいく治療が受けられない所が多くあります。どのように地方の医療問題を解決するか。このコスタリカの事例は何かに繋がっていきそうな気がしました。
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