THE NEWZ Vol.16 日本語
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日本フランスOECD諸国平均 今回の改革で話題になったフランスですが、OECD諸国の38カ国中28カ国がすでに受給開始年齢の引き上げを実施しており、2020年時点で平均は65歳、デンマークやアイスランドでは67歳を超えています。 フランスの公的年金支出は全体の経済生産高の14%を占めており、世界最高水準に当たります。それだけ福祉を大切にしているのです。 しかし、フランスの社会保障制度は2020年の時点で、全部門で赤字を記録。年金部門の赤字はなんと前年に比べ23億ユーロ(2806億円)増え、37億ユーロ(4514億円)となりました。その他の高齢者に対する福祉の赤字も膨れ上がっています。 原因は主に二つ挙げられます。まずは平均寿命が伸びたことです。2000年79歳だった平均寿命は、2021年に82歳を記録しました。寿命が伸びること自体は良いことですが、年金を支給する年数がその分増えることになります。増えたのは年数だけではありません。もう一つは高齢化問 今回は老後の生活に必要な年金についてまとめました。持続可能な年金制度にするためには、両国とも更なる工夫が必要なように感じます。少子化や高齢化など、解決に時間のかかる問題に影響を受ける年金制度。これからの時代、 グローバルな今の時代、住む場所の選択肢も大幅に広がりました。 この記事を読んでいるみなさんの中にも、海外で働いている、もしくは住んでみたいと思っている方もいるのではないでしょうか。「もし、移住したら社会保険の二重加入になってしまう?」65歳62歳(2027~64歳)65歳題です。2018年、18%だった65歳以上の人口の割合は、2022年に21%となりました。これが引き金となり年金制度の赤字が生じたと考えられます。 日本でも同様のことが起こっています。総人口における65歳以上の人口比率が29%を占め、2070年には4人に1人が75歳以上になることが予想されています。また平均寿命は2020年の時点で80歳を超えており、2040年には男性83歳、女性89歳を超えると推測されます。 日本が抱えている問題は年金受給者の増加と支給の長期化だけではありません。少子化です。さまざまな価値観のもと非婚化、晩婚化が進んだこと、婚外子が世間・法律的に不利になっていること、経済的に子供を育てる余裕がないことなどが原因となっていると考えられます。(実は、フランスでは嫡出子と非嫡出子がほぼ同等と扱われるため52%が非嫡出子となっています。)このため、本来年金の負担層となるべき労働人口は必然的に減り、年々増えている受益層を支えるのが難しくなっているのです。私たち一人ひとりが、退職後どのような生活を送りたいのか考え、それに向けて自分なりに備えることも大事なのではないでしょうか。「今まで納めてきた保険料は無駄になる?」 そんな疑問を抱くと思います。 この事態を避けるために2007年、日本とフランス間で日仏社会保障協定が結ばれました。この協定により、二重加入と滞納した保険料の掛け捨てを防止できるようになりました。 先行き不安な年金制度年金の支給開始年齢 私たちが考えなければならないこと おまけ 日本とフランスの間には年金協定がある!?

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