今回は、オーストリアのピル(低用量ピル・経口避妊薬)と避妊事情についてご紹介します。私は生理によるPMDD(気分障害)の症状がひどかったこともあり、ピルを毎日服用しています。日本に住んでいた頃は、周りにピル・ユーザーがあまりいませんでした。実際にピル まずオーストリア以外のヨーロッパ諸国を見てみましょう。フランスでは2022年から、25歳以下の女性は無料でピルを手に入れることができるようになり、2023年には、全ての女性にピルが無料で提供されることが公的に発表されました。またイタリアでは、ピルは処方箋が必要なく市販されており、2022年から25歳以下の女性に対して無償化されています。ドイツでは、22歳までならピルの費用を保険会社から払い戻すことができます。他にもスウェーデンでは25歳以下、フィンランドでは24歳以下、オランダでは21歳以下が無料でピルを手に入れることができます。さらに、ギリ しかし、オーストリアでは未だこのような保障はありません。現在、日本と同様に、ピルは無償化されておらず、保険会社からの払い戻しもありません。さらに必ず処方箋が必要で、市販はされていません。また若者や低所得者への支援も行われていません。では実際にどのくらいの金額がするのでしょうか。 ピルは製剤やメーカーに 「性と生殖に関する権利に関する欧州議会フォーラム(EPF)」は、この問題に関心を持つ欧州各国の議会のグループによって構成されており、オーストリアも参加しています。そしてこのフォーラムは2017年から毎年、内服率はヨーロッパ諸国が30%前後であるのに対し、日本は約3%と、とても低い割合になっています。(フランスは約33%、イギリスは約26%です)。オーストリアのピル・避妊の現状は、日本や他のヨーロッパ諸国とどう違うのでしょうか。シャ、ポルトガル、スロヴェニア、イギリス、そしてスペインでは全ての女性に対し無料、もしくは社会保障制度でピルに関わる費用が負担されています。ベルギーでは、25歳以下の女性はコンドームを除く、ほぼ全ての避妊具を保険で払い戻してもらうことが可能です。ルクセンブルクでもピルだけでなく、IUD(子宮内避妊用具)や緊急避妊薬など、他の避妊手段も無料となっています。このように、ヨーロッパの多くの国では避妊具への保障が手厚いことがわかります。実際に、ヨーロッパ46ヶ国のうち20ヶ国は自身の医療制度に避妊を組み込んでいます。よって異なりますが、1ヵ月あたり4~15ユーロかかります(650円~2400円)。政治の場において、緑の党を筆頭に避妊具の無償化が働きかけられていますが、具体的な解決策は未だ打ち出されていない状態にあります。それではヨーロッパ全体において、オーストリアは避妊において後進国なのでしょうか。性問題に関する各国の先進度を示すマップを発行しています。マップ上では、緑が濃くなればなるほど性に関して保障が手厚く、赤色はその逆を示しています。新垣 春佳 ウィーン大学 ヨーロッパ諸国におけるピル及び他の避妊具をめぐる法的状況 オーストリアにおける避妊具をめぐる状況 オーストリアは後進国?オーストリアのピルと避妊事情
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