THE NEWZ Vol.17 日本語
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 乳がんがどのようにできるのかは未だ解明されていませんが、近年の研究結果から発症リスクを高める要因は明らかになりつつあります。 挙げられる要因としては、初経年齢が早い、閉経年齢が遅い、出産歴がない、初産年齢が遅い、授乳歴がないことが挙げられます。また食生活・生活習慣の変化が大きな原因ではないかと考えられています。 これらの要因から乳がんのリスクを回避するためには、バランスの取れた食事、適度な運動、肥満の予防、禁煙、およびアルコールの適量摂取を心がけることが重要です。良い生活習慣は乳がんのリスクを低減するだけでなく、全体的な健康を促進します。 また、定期的なマンモグラフィ検査や乳房自己検診など、乳がんは、命を脅かす深刻な病気ですが、その克服に向けた闘いはただひとつの終着点ではないと思います。今後も、医療の進歩や支援体制の強化により乳がんの影響を受ける(おしえて乳がんのコト) https://oshiete-gan.jp/breast/about/countermeasure/prevention.html 乳がんの早期発見を促進するスクリーニング方法を定期的に行うことが重要です。早期発見により、治療の成功率が高まります。はっきりとした不満が感じられたとのこと。我慢できず、がんセンターの連絡先を聞き出し、電話をかけたが、あちこちをたらい回しにされ、最終的にはまったく聞き取れない音声ガイダンスが流れ、結局電話は切れてしまったそうです。その日、西さんはがんを宣告されてから初めて涙を流したと言います。「できることなら間違いなくスムーズに治療を受けられた方がいい。ただ一方で便利な暮らしに慣れてしまうと、人は何も考えなくなるのかもしれないとも思う。カナダでのがん治療のままならなさに何度も泣かされた西さんだが「だからこそ奇跡みたいな瞬間にも出会えた」と微笑む。「日本の完璧さに慣れていたから気づいてなかったけれど、何事も人間がやっていることだから間違うのも当たり前だよなとも思うんです。手術の日、看護師が“ボニータ”という女性と私を間違えてしまい30分前に飲まなければならない痛み止めを飲めなかったのですが、そのことで私は怖くて不安で押し潰されそうなはずの手術室まで運ばれる時間、爆笑することができました。」すべての人々に、心からの支援と共に、明るい未来への道を歩んでいけるよう、願っています。 乳がんのリスク要因 乳がんの治療法 乳がんの最も一般的な治療法の一つは手術です。乳房温存手術(部分摘出術または乳房温存療法)や乳房全摘出術が行われます。温存手術では腫瘍と周囲の健康な組織の一部を取り除き、全摘出術では乳房全体を摘出します。近年では数多くの乳がんの治療薬が開発されており、乳がんの性質や治療の目的によって使用する薬が使い分けられています。 最後になりますが、作家の西加奈子さんについて少し触れたいと思います。2019年に夫と子どもと一緒にカナダへ移住し、その1年8か月後の2021年8月、乳がんと診断されます。西さん自身、「まさか自分が」「自分ががんになるはずがない」「しこりの大半は良性なのだから、がんであるはずがない」と心のなかで唱えて、必死に不安を打ち消したと著書で描かれています。 2023 年4月に発売された著書『くもをさがす(河出書房新社)』は、乳がんの中でも治療が難しいとされる「トリプルネガティブ乳がん」と診断され、抗がん剤や手術などを受けたカナダでの約8か月を克明に描いたノンフィクション作品です。この作品の中には、西さんが体感したカナダの医療と日本の医療の「違い」も描かれています。 そのうちのひとつは、針検診を受けたクリニックの医師から電話でがんと告げられた直後の出来事です。待ち望んでいたがんセンターからの連絡が一向に届かず、焦りが募る中、クリニックに電話しても、「がんセンターにはすでにFAXを送ったから、とにかく待て」という一言で遮られ、電話はすぐに切られてしい、また受付の女性の口調からは、6

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