THE NEWZ Vol.17 日本語
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 中絶が禁止されているマレーシアであっても、経済的・社会的な理由や性犯罪による予期せぬ妊娠などの理由から、マレーシア人あるいは、マレーシアで生活している人達は人工中絶を迫られる可能性があります。そのような場合は以下のような方法が取られることがあります。シンガポールで中絶手術を受ける マレーシアの隣の国シンガポールでは、どんな理由であっても人工中絶手術が合法的に受けられます。更に、シンガポールは医療施設や医療サービスが高水準で整っていることが知られており、プライバシーと機密性の保護の面に関しても高い基準を持っています。中絶手術を受ける際はプライバシーを重視する人も多いです。これらの理由から一部の人は中絶手術を受けるためにマレーシアからシンガポールに渡航する選択をします。違法中絶手術 合法的に中絶手術を認められない際に違法中絶手術を選択する場合があります。そしてマレーシアでは、違法で中絶手術を受けるケースが近年増加しております。クアラルンプール首都圏でも多数の報告があり、産婦人科が患者に法外な手術代を請求することが問題となっています。妊娠してから間もない場合(10週間以内)の中絶手術は通常麻酔と掻爬術により10分も掛かりません。一般的には合計で1,000リンギットも掛からない手術ですが、その2,3倍の金額を求める民間病院もがあります(注2)。更に、違法中絶手術の場合、一般的に医師の技術不足や、不適切な環境下での処置が行われる場合があります。実際に、マレーシア家族計画及び人口委員会(NPFDB)のデータによると同国では毎年9万人以上が中絶手術を受けており、その内約5人が手術の失敗により死亡していることが報告されています(注2)。 「中絶を合法化するかしないか」の問題は、宗教上の理由をはじめ様々な考え方があるため、難しい問題であるとは言えますが、マレーシアでは実際に、中絶が違法であることが原因で、違法中絶手術の件数が大幅に増えたり、子供を産んでから殺害してしまうという事件が増えたりなど、様々な問題が同時に起こっていることも事実としてあります。(注1)Ipsosの調査結果より(注2)medisterの記事より マレーシア人の中絶選択肢8

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