看護師における日米比較 私はシェアハウスに住んでいるのですが、そのうちの2人がトラベルナースという職業に就いていることもあり、日米の医療従事者比較をしたいと思いました。 まず日本ではトラベルナースはあまり聴き慣れない職業だと思いますが、アメリカでは需要の多い地域で特定 日本には看護師の資格として、准看護師・看護師・保健師・助産師があります。一方アメリカでは、准看護師・正看護師・高度看護実践看護師と大きく3つに分けられ、その中でも、学歴や専門知識によって仕事が細分化されています。ルームメイトはどちらも高度看護実践看護師(APRN:Advanced Practice Registered Nurse)と呼ばれる高い専門性がある看護師で、ひとりはCNS(Clinical Nurse Specialist)という役職で、特定の分野で患者に対して診断や処方箋をだすことができるそうです。もう一人はCRNA(Certified Registered Nurse Anesthetist)と呼ばれ麻酔を取り扱うことができるようで、薬剤師や医師と同等の知識が求められ、患者に対して施術できるようです。 ルームメイトから話を聞く限り、アメリカの病院では看護師の仕事が細分化されている印象を非常に受けました。私が以前日本で入院した際に看護師さんは、点滴・採血・食事の配膳・シーツ交換など医療行為から身の回りの世話までしてくれたことを話すと彼女たちはとても驚いていました。アメリカの病院では、採血はPhlebotomistが、人工呼吸器装着中の患者さんにはRespiratory Therapistと呼ばれる専門的な人々が患者さんのケアを行っているようです。 加えて彼女たちは、失敗が許されない職場で専門外の業務を行うと間違える可能性が高くなってしまうから危険だと教えてくれました。ミスをなるべく防いで患者さんに必要なサービスを提供するためにも、看護師など医療従事者の仕事環境や健康にも重きが置かれる傾向にあるそうです。の知識や経験がある看護師として一時的に働き、患者に対して質の高いケアを提供する看護師を意味します。特にコロナのパンデミックでは、アメリカ全土で人員配置の危機を引き起こした結果、トラベルナースの需要が急増しました。 トラベルナースの賃金については、働く場所や専門・経験年数によって異なるようですが、看護師の給与の中央値は年間113,930ドルでした(2018年時点)。厚生労働省の発表によると、2019年の日本の看護師平均年収は約483万円のため、大きなギャップがあることがわかります。年収の差に加え、アメリカのトラベルナースは一般的な看護師のポジションよりも住宅手当や生活費の援助(奨学金のようなもの)を受け取ることができ、それらは非課税であることが多く賃金が高くなる傾向がよくあるようです。 さらにパンデミック以降、看護師の需要が高まるにつれて、医療スタッフィングプラットフォーム・NurseFlyの調査結果によると、トラベルナースの平均週給はほぼ2倍になったようです。私がいるワシントン州では約90%の上昇率でした。トラベルナースについてのポスター11池田 唯花ワシントン大学看護師における日米比較
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