現状脱却のための取り組み まとめフランスの医療砂漠問題 (désert médical) では、フランスの現状も覗いてみましょう。 フランスの医療アクセス問題を説明する前に、フランスの診察システムを簡単にご紹介します。フランスの診察システムには、かかりつけ医(GP)制度が取り入れられています。つまり、精密検査や専門医に診てもらうには、初めにかかりつけ医にかかり、処方箋をもらいます。そしてやっと専門医に診てもらえるのです。 フランスが抱える大きな課題の一つ、「医療砂漠(désert médical)」。これは人口10万人に対して医師が十分にいない状態の地域を指します。フランス政府によると、約30%もの人口がこの医療砂漠の地域に住んでおり、そのうち60%強がフランス中北部に集中しているそうです。また、先ほど紹介した「かかりつけ制度」も全ての人に行き届いておらず、600万人以上もの人々がかかりつけ医を持っていないと言います。この現状もあり、毎年160万人の人々が治療・診断の断念を余儀なくされています。 では、なぜ医療砂漠が生じてしまうのでしょうか。 根本的原因としては、医師不足が挙げられます。医療従事者の高齢化が進み、それを補えるだけの若い医師が確保できていない状況です。また、若い医師は利便性の 日本: 日本が抱える問題「過疎化地域の医療不足」。無医地区だった地域を見事に救った病院の事例を紹介します。鹿児島県・南九州市の松岡救急クリニック。東海テレビによると、都心部から離れた場所に位置する病院ですが、8人の医者を確保しているとのこと。この病院で採用されたのが、飛行機出勤に残業なし、さらには平均より高額な給与。利益率をあげることでこの待遇を可能にしていると言います。 さらに、札幌市と旭川市以外で医療不足が見られる北海道。また、訴訟される可能性が比較的高い内科・外科の医師を目指す人が減少し、偏在が問題となっています。この解決策として、読売新聞が取り上げたのが、「総合診療医」の育成です。複数の診療科の知識を持っているためより多くの人に対応でき、複数の疾患を持った患者に対してもより早く診断・治療を行うことが可能になりま今回は日本・フランスの医療アクセス問題について取り上げました。いかがだったでしょうか。両国とも似たような課題を抱えており、一人一人が安心して暮らすため高い都市に集中することが多く、地方の医療従事者の減少を招いています。ユーロニュースによると、特に田舎の医師不足が深刻で、フランスの田舎村ロデーズの精神病棟では、夏季の医療従事者が足りず、受け入れ人数・病床を減らす処置が取られたそうです。また、その隣町では、全ての専門分野をカバーすることができず、脳卒中患者が言語療法士や眼科医の予約をとるのになんと数ヶ月かかったそうです。す。総合診療医を育成する「北海道家庭医療学センター」は年々拠点を増やし、より多くの医師を育成することを目指しています。 フランス: フランスでは、2019年から2022年の間に34億もの追加予算を「医療改革」に充てる取り組みが行われました。具体的な措置としては、過疎化地域の公立病院で計400人の一般医を雇うこと、開業医を志す医師への支援金、過疎地域での開業を条件とした奨学金の支給、オンライン診療の促進などが挙げられます。 フランスの田舎、ヌヴェール市では、「Flying doctor」という機関を設立しました。文字通り、飛行機を使い、医師を派遣するというものです。日本の取り組みと似ていますね。往復一人10万円以上の費用は市が負担しています。空港とも連携し、駐車場・税金の無料化が実現しています。にも早急な対応が必要です。似たような課題を抱える国の対策をお互いに参考にするのも、より良い打開策を見つける手段かもしれません。 4
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