THE NEWZ Vol.21 日本語
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 最後に SNSが発展し、スクリーンタイムが増えたこの時代、教育の場で「運動の大切さ」、「習慣にするコツ」を学ぶことは、健康的な人生を送る上で非常に重要です。それぞれの国で、運動時間の減少、スクリーンタイムの増加、肥満率の増加など抱えている問題は似ている傾向があります。各国の対策をお互い参考にすることでより良い対策ヒントを得られるかもしれません。14フランス:では、フランスの実態はどうなのでしょう。実は、6~11歳の子供のうち、92%の女子、82%の男子が十分な運動をしていないようです。WHOによると、推奨されている運動活動レベルを満たしているのは、11~14歳で11.5%未満、15~17歳で43%未満であることが報告されています。男女差もみられ、15~17歳の十分に運動を行っている女子が24%に対し、男子はその2倍以上の63%となっています。また、コロナ禍にフランス中部で行われた調査では、運動能力・身体能力共に30%の低下見受けられたと推定されています。驚くことに、WHOが実施した身体活動の調査では、フランスは146カ国のうち119位を記録しており、対策が求められています。 他にも、フランス社会厚生関係統計局により4人に1人が体重過剰であること(2016~2017)、7割以上の子供のスクリーンタイムが推奨時間(2時間)を上回る3時間半、10%は6時間以上であることが明らかになりました。 より健康的に生きるために この章では、両国がこの問題にどう対処しているかを紹介します。 日本:授業改善で実際に生徒の意識・体力が向上した例をみてみましょう。文部科学省がまとめた資料からいくつか紹介します。一つ目は、運動が「できる」を重視するのではなく、「運動することの楽しさ・喜び」を大切にする教育です。ある学校では、運動会を体育の授業の一環と捉え協力してゴールを目指す取り組みや、体力アップ週間を設ける取り組みなど、楽しいイベントとして運動を促しています。自然と運動=楽しい事と感じることができそうですね。また、学習カードで振り返りを行った学校でも成果がみられました。「今日できるようになったこと」を記録することで、成長が可視化され、できた喜びを感じられるようになっています。フランス:フランスでは パリオリンピック/パラリンピック開催決定を機に「オリンピック・パラリンピック週間」というプロジェクトが導入されました。週間の間、学校で子供たちに毎日 30 分のエクササイズを提供するというものです。フランス政府によると、 2022 年に 3 万 6,000 だった参加校数は、2023 年に 7 万にまで拡大しました。 この取り組みをさらに拡大するため、パリオリンピック前の現在は、”Pour une France en forme” という専門家グループ、国民教育省や国立スポーツ局、さらには 154 名ものプロのスポーツ選手のサポートを受けて、啓発活動を行っています。しかし、問題点も挙げられています。どのようにカリキュラムに組んで良いのか分からないという声や、全生徒が使うのに十分なグラウンドのスペースがないとの声が聞かれました。設備の支援として、ボール等の道具を学校に配布する活動が実施されていますが、プール・グラウンドなど大きな設備の面で地域差が浮き彫りになっています。

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