THE NEWZ Vol.21 日本語
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 こんにちは!シアトルの自然関係の学校に通っている、西山七海です。雨季のシーズンから乾季シーズンに入り、カラッとした天気になってきたアメリカ北西海岸。ですが、学校も休みに入り、私はシアトルを出て、現在、北海道にきています。少しずつ暖かくなってきているこの頃。やっと湖に入り、今年、初めて泳ぐことができました。そんな時にふと思い出したのが水中出産の話。ニュージーランドの知り合いから、一年ほど前に水中出産について耳にしたことを思い出しました。ということで今回は水中出産についての説明から水中出産の歴史、利点とリスク、また、それぞれの国でのサポートついて、お伝えしようと思います。 水中出産とは?ウィルダネスアウェアネススクール(シアトル) 水中出産は、分娩者が分娩中に特別に水に浸かり赤ちゃんを出産することを指します。中には、陣痛の過程で水に浸かることを選ぶ人もいるようです。水中出産の主な目的としては、陣痛中に水に浸かると痛みが和らぐため、硬膜外麻酔の使用回数が減り、陣痛が短くなる可能性があるためだと言われています。 水中出産の歴史 水中出産は新しい概念だと思われがちですが、水中出産の専門家であるジャネット・バラスカス氏によるとそうではないと言います。彼女は、南太平洋の島民が浅い海水で出産した伝説や、エジプトのファラオが水中で出産した伝説を紹介しています。今日でも、世界のいくつかの地域では、女性は地元の川など特別な場所に行って出産しているそうです。 ����年代には、フランスの助産婦や医師たちは、温水を使って、赤ちゃんが子宮からできるだけスムーズに外の世界へと移行できるよう手助けする方法に関心を持つようになりました。しかし、あらゆる介入を伴う現代の出産医療が、赤ちゃんにトラウマを与えるのではないかとの懸念から、他の地域にすぐに普及していくことはありませんでした。しかし、その後フランスの産科医ミシェル・オデント氏の発見により状況は変わります。ミシェル・オデント氏は、水に浸かることが、産痛に対処する役割だけでなく、陣痛の進行を助けるようであることに気づき、さらには、赤ちゃんが子宮から母親の腕の中に入るまでの道のりを、より穏やかにしてくれるとの報告もされています。当時の医師や助産婦は、通常の出産方法で生まれた赤ちゃんよりも、水中で生まれた赤ちゃんの方が泣く回数が少なく、いかに落ち着いていたかを指摘しました。また、赤ちゃんはよりリラックスした様子で、母親と目を合わせたり、母乳を欲しがったりした様子が印象的だったそうです。オーデント氏のような先駆者たちは、私たちが過去に水生生物であったため、水の中で生まれることに安心感を覚えるのではないかと考えを発言したこともありました。 ����年代から����年代にかけて、イギリス、ヨーロッパ、カナダで、水中出産への関心が高まっていきました。米国では産科医のマイケル・ローゼンタール、正看護師で出産教育者のバーバラ・ハーパー、英国では助産師で教育者のダイアン・ガーランドといった水中出産のチャンピオンが登場。彼らは、水中出産の経験を共有し、普及に努め、水中での陣痛と出産のガイドラインが安全であることを確認することで、出産プールでの実践の信頼性を高めることに貢献したそうです。 水中出産の利点とリスクについて 水中出産の利点とリスクについて詳しく見ていけたらと思います。 利点・陣痛を和らげる :水の浮力によって、筋肉や組織がリラックスする。・薬の必要性が減る:水中出産にはオキシトシンに影響を与え、陣痛の強さを調節する化学的・ホルモン的反応がある。身体がリラックスすると、より多くのオキシトシンが分泌され、痛みを抑制するエンドルフィンが脳内に溢れ、その結果、薬の必要性が減る可能性がある。西山七海水中出産についてAmerica

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