4・陣痛の短縮: ある研究では、水中出産は3つの段階すべてにおいて陣痛の期間を短縮する役割を果たすという。これらは水の動きや筋肉が緩和すること、心理的なものが関係している。・介入の必要性が減る:水中出産は、人工授精や会陰切開などの産科的介入の必要性を減らすという研究結果もある。リスク・メコニウム吸引: この医学用語は、赤ちゃんが出産前に初めて排便し、汚染された羊水を吸い込んで呼吸障害を起こすことを意味する。分娩前に初めての排便があった場合は、特別な注意が必要で、水中出産では赤ちゃんの気道を確保するのが難しい場合がある。また、メコン吸引、糞便汚染、浴槽水中の細菌によって引き起こされる肺炎のリスクもある。・溺死: 溺水:水があるところでは、当然溺れる危険性がある。水中出産を行う医療環境では、分娩チームが赤ちゃんの頭を水面上に出し、生まれてすぐに呼吸に必要な酸素を十分に取り込めるように促すことで、このような事態を防ぐことができる。・臍帯断裂: 臍帯断裂:水中出産では、赤ちゃんは通常、頭から水面にすばやく上がります。へその緒が切れると、胎児は止血するまで出血し続けるため、生命を脅かす可能性がある。・赤ちゃんへの感染 :水中出産とは、座って、いきんで、桶の中で出産することで、桶の中に排泄物があることも多い。そのような環境で生まれた赤ちゃんは、汚染された水を飲み込む可能性があり、病原菌感染のリスクが高まる。・緊急時の資源不足:水中出産では、分娩中の緊急事態(肩甲難産、母体からの出血、帝王切開の必要性など)に対応する能力が限られている。これは、親や赤ちゃんに悪い結果をもたらす可能性がある。 各国での水中出産体制について 調べていくと各国で水中出産の認知度や体制が違うことがわかりました。今回は日本、オーストラリア、カナダに焦点をあて紹介していきます。日本 : 水中出産は日本ではまだ当たり前ではなく、国内では水中分娩専用のプールを設置している施設は少ないのが現状です。(施設一例)・日本赤十字社 日本赤十字社医療センター(東京)・医療法人社団晴晃会 育良クリニック(東京)オーストラリア : オーストラリアでは50以上の病院で水中出産が可能となっています。水中出産ができるのは以下の条件を満たしている場合です。・助産師グループによるバースセンターでの出産・プールや産湯があり、トレーニングを受けたスタッフがいる病院・病院へのアクセス権を持つお墨付きの助産師(プライベート助産師)がいる場合・自宅で助産師と一緒に出産する場合・自宅での自由分娩・産科医のいる私立病院-陣痛や出産に水浸法をサポートする病院はほとんどない。病院で高リスクとみなされた場合、以下の基準を満たさない場合は水中出産を許可されません。・合併症のない低リスク妊娠で、赤ちゃんが健康である。・健康な体をもち、健康な体重範囲にある・頭位で分娩する赤ちゃんが1人であること・陣痛時に妊娠37週以上であるカナダ : カナダでは以前から、助産師の手を借りて、自宅での水中出産が行われてきました。病院では、陣痛を起こすために、浴槽やシャワーが使われるのが一般的です。しかし、近年変化がみられ、現在では、産科病棟に出産プールを設置する病院が増えています。病院で医師が水中分娩に手を貸すことはありませんが、助産師が水中分娩の援助を行うことは可能です。そのため、助産師には、水中での陣痛や出産をケアするのに必要なスキルが求められているそうです。 水中出産をしてはいけない人とは? 出産を予定している場所にまつわるルールは別として、他にも考慮しなければならない状況があります。特に基礎疾患によっては、水中出産がかなり危険な場合があります。・B群溶血性連鎖球菌陽性の培養液、妊娠糖尿病、高血圧、子癇前症、巨大児、子宮内発育制限、未確認の骨盤のような妊娠合併症などの持病がある場合・予定より早く陣痛が始まった(妊娠37週未満)・赤ちゃんが逆子である・35歳以上である・複数の赤ちゃんを出産する場合「リスクの高い状態や陣痛中の合併症では、継続的な胎児モニタリングや即時の介入が必要になることが多く、水中以外で行う方がよい」と、マサチューセッツ州ケンブリッジの産婦人科医のエドウィン・ファン医学博士は説明します。まとめ 近年、少しずつ日本でも水中出産について知られていっている様子が伺えます。水中出産が適しているかどうかは人それぞれによって異なっているようです。もしも、検討しているのであれば、リスクを考慮した上で、医療従事者と相談して決めることをお勧めします。この記事が何かのお役に立つと嬉しいです。
元のページ ../index.html#5