10 パンデミックが始まった当初、メディケア受給者の方による遠隔医療の利用者数が約500万件から5300万件以上に大幅に増えたそうです。また、約80%の医師が今後も遠隔医療を継続して使用していく予定だというデータがあるそうです。USA FACTSのウェブサイトから、2021年の4月から2022年の8月までに収集されたデータによると、パンデミック中にテレヘルスの利用率は大幅に増加しましたが、パンデミックが収束した後もその利用率は高い状態を維持しています。コロナ禍を経て、遠隔医療の需要が高まった結果、世界中で政府や医療保険会社による医療政策が大きく変更されました。具体的には、アメリカのメディケアプログラムにおけるテレヘルスの利用の制限をより緩くし、自宅からもサービスを受けれるようにしました。 パンデミックが収束した後も、テレヘルスは、退院後の患者の症状にコロナ禍を機に、ますます需要を得たテレヘルスですが、いくつかの課題も出てきます。 まずは、テレヘルスを通して、様々な診察を遠隔で受ける事は可能ですが、全ての種類の病気の診断や検査をする事は不可能だという事です。患者の病状や容態によっては、直接病院に足を運ばなければならない場合もあります。例えば、レントゲンやMRI、血液検査等は医療機器や検体の取り扱いが必要になってきます。そのため、こうした検査や診断を行うためには、患者が実際に病院やクリニックに行って、直接医師や医療スタッフに診てもらう必要があります。次に、遠隔医療やオンライン診察など、医療情報が電子上でやり取りされる際に、患者の医療データを含む個人情報が、第三者にハッキングや漏洩されるリスクもゼロではないという点です。患者の医療データには、そのコロナ禍後の遠隔医療についてテレヘルス利用における懸念点問題がないかを定期的に監視するため等の手段として定着しています。Wheelのウェブページから、テレヘルスの利用率はパンデミック前と比べて約38倍になっており、今後も医療の重要な部分として活用されていくのではないかとマッキンゼーのデータから考えられているそうです。 上記のことから、2023年以降もテレヘルスは医療システムの中で重要な役割を果たし続けていくのではないであろうかと考えられております。仕事のストレスや、精神的・肉体的疲労、臨床医の退職等の様々な要因から今後10年間で最大122,000人にも及ぶ医師不足が予想されており、これらをカバーするためにテレヘルスがますます活躍してくるのではないかと考えられております。人の病歴や、診断結果、治療内容等の個人のプライバシーに関わる情報が含まれているため、それらを保護する適切なセキュリティ対策が非常に重要になってきます。 最後に、パンデミック中に、テレヘルスの費用をカバーする保険会社も多くあったが、全てのサービスが保険によってカバーされるわけではないという点です。保険の種類によっては、患者が自分で負担しなければならない場合もあります。
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