結論141.手厚い経済的インセンティブ: 政府は、多子世帯の母親に対する減税や、大家族に適した住宅や車を確保するための補助金や融資など、多額の経済的優遇措置を提供している。4人以上の子供を持つ母親は、一定の条件の下、個人所得税が一生免除される。2.住宅・自動車補助金 : 住宅や自動車の購入に補助金が支給され、子供が生まれるごとに追加給付される。3.文化的統一: オルバンの政策は、社会を画一化し、文化的に統一することを目的としている。出生率が高まれば、移民への依存を減らすことができると考えている。自国民が増えればハンガリーという国 日本もハンガリーも、出生率上昇を促すための財政的インセンティブに多額の投資を行ってきたが、どちらもこれといった凄まじい効果は得られずいまだに人口減少との闘いを続けている。これは、少子化の原因となる複雑な社会的、経済的、文化的な壁に対処するためには財政的措置だけでは不十分であることを示唆している。日本では、男性の育児・家事への参加不足が大きな問題であり、男性の育児・家事への参加は女性に比べてごくわずかである。このアンバランスが、女性に対する 日本もハンガリーも、政策によって出生率の低下を逆転させることの難しさに直面している。経済的インセンティブは両国の戦略の重要な要素のひとつであるが、出生率を大幅に向上させるには、より深い社会的・文化的問題に取り組むことが重要である。大家族を支える金銭的な余裕をすでに持っている人たちだけでなく、すべての親の様々なニーズに配慮した、より包括的な対策が必要だろう。このことから、単に少子化対策といえど、根本的原因には文化や社会の仕組みが背景にあることが伺えるため、男女平等、ワーク・ライフ・バランス、社会的支援制度の改善など、より広範な社会改革にも取り組み、子育てしやすい環境を作ることが効果的な戦略であるかもしれない。ハンガリーの家族政策の主な取り組み 比較と分析、そして新たな問題がより強固で国の伝統を守っていけるというものだ。こうした施策は国際的に非常に注目されているが、主に中・高所得者層に恩恵をもたらしているとの批判もある。低所得者層は、減税措置の恩恵を受けたり、経済的な優遇措置があっても子供を増やす余裕があるほど収入がないことが多い。さらに、伝統的な家族モデルを重視するあまり、近代的な家族構成や新たな選択肢を取り上げたり支援したりしないことへの批判も巻き起こっている。たとえば、養子縁組に対してこの政策は適用されるのかなどである。少子化率の一因となり、子どもを産むことを若い世代に躊躇させている。ハンガリーでは、このアプローチは意図せず不平等を助長し、経済的な問題によって子どもを持つことを躊躇しがちな層への支援とは言い難い。このことから、根本的な問題解決には至っていないのではないかとの批判の声が上がっている。
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