THE NEWZ Vol.23 日本語
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9現在、日本とハンガリーでは医療従事者の不足という問題に直面している。この記事では、医療従事者の不足の大きな原因である「医療従事者の流出」にフォーカスしていきたい。ハンガリーでは、医療従事者の流出は経済的要因に大きく影響されていると考えられる。ハンガリーでの医師に対する給与が西欧よりも大幅に低いからだ。この賃金格差は、ハンガリーの物価の高さと相まって、医療従事者が良い生活水準を維持することを難しくしている。この状況は、国の資金不足や劣悪な労働条件など、ハンガリーの医療制度が抱える課題によってさらに悪化し、労働者の意欲を低下させている。そのため、経済的によりやりがいのあるキャリアを海外に求めるようになっている。日本は、世界で最も急速に高齢化が進んでいる国の一つであり、医療サービスに対する需要が著しく高まっているというユニークなケースを呈している。この人口動態の変化は、既存の医療インフラに課題をもたらし、適切な医療を提供するためにはより多くの人手を必要している。しかし、日本の厳しい移民政策と、均質な労働力を好む文化的嗜好が、外国人医療従事者の採用の障壁とハンガリーも日本も、医療従事者の移動と不足が原因で、医療制度に大きな影響を及ぼしている。ハンガリーでは、医療従事者の減少は、残されたスタッフの仕事量の増加、患者の待ち時間の延長、医療サービスの質の全般的な低下につながる。結果的に、医療制度を疲弊させ、国全体の患者ケアに影響を及ぼす。日本では、高度な医療技術の活用や効率的な診療の実施により、その影響はいくらか緩和されているものの、そハンガリー : 経済的要因 日本 : 政策的制約と医療需要の増加 医療従事者の「流失」による影響:医療制度への影響ここでは、日本とハンガリーでは、異なった要因が医療従事者不足をもたらしていると仮定し、それぞれの国特有の状況、特に医療従事者の流出がもたらす結果を探り、これらの課題に対処するための解決策を提案していきたい。このようにハンガリーでは給与以外にも医療従事者の流出を助長する要因があり、医療サービス全体の持続可能性に影響を及ぼしている。なっている。特に地方や十分な医療が行き届いていない地域では、医療の需要と供給の均衡が取られていない。日本は、技術革新や医療提供の効率化を通じてこうした格差に対処しようとしてきたが、高齢化によって増大する医療ニーズに応えるには、こうした対策だけでは不十分である。れでも不足は重大な問題を引き起こしている。特に地方や医療が行き届いていない地域では、高齢化する人口のニーズに対応できるだけの医療従事者がおらず、サービス提供の格差を生み出している。この状況は、こうしたギャップを埋める可能性のある外国人医療従事者の受け入れが、国の政策や文化的嗜好によって阻まれたことにより、さらに深刻化している。医療従事者不足の課題と対策高野内 翔太センメルワイス大学(ブダペスト、ハンガリー)

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