3 子宮頸がんとはフランスと日本のHVPワクチン:日本の現状こんにちはみなさんは、ワクチンに対してどのような印象を持っているでしょうか。2019年、突如この世に現れた新型コロナウイルス。想像を超える勢いで世界中に広がり、仕事にも学業にも、私生活にも多大な影響をもたらしました。その中で、しばしば取り上げられた問題の一つが「ワクチン接種」です。新型コロナウイルスの感染を広げないため、また、万が一感染した場合に症状を軽減するために、積極的にワクチンを受ける人々がいる一方で、短期間でワクチンについて議論をする前に、子宮頸がんがどのような病気なのか見ていきましょう。子宮頸がんは、名前の通り子宮頸部にできるもので、日本では毎年1.1万人の女性がかかっています。厚生労働省の調査では、1万人あたり132人ほどが子宮頸がんにかかり、さらに命を落とすケースは1万人あたり34人となっています。日本のHVPワクチン接種率は、2019年には1.9%とG7諸国の中でワーストを記録しましたが、2023年4月に接種が再推奨された後、接種率は徐々に増加し、同年には40%近くに達しました。それでもなお、G7の他の国々では接種率が50%を超えており、イギリス(82.8%)やオーストラリア(85%)では80%以上に達していることを考えると、日本の接種率は依然として低い水準にあります。では、なぜ日本での普及が遅れてしまったのでしょうか。2006年にアメリカで承認されたHVPワクチンは、日本では2010年に接種が開始され、2013年には女性を対象に定期接種化が実施されました。しかし、定期接種推奨は大きな混乱を巻き起こしました。従来副作用には含まれていないような慢性的な痛みを伴う症状が多数報告されたのです。マスメディアはこの有害事象を、痙攣症状・記憶障害をピダーソン緑ネオマビジネススクール(ルーアン、フランス)開発されたワクチンやワクチン後遺症の事例を理由に接種を拒否する人もいます。実際、私もその一人であり、研究期間が短いワクチンに対して信頼を持てず、接種を受けない決断をしました。「人類を守る役割を果たすはずのワクチン」。今回は日本とフランスのワクチン事情に焦点を当て、特に「子宮頸がんワクチン(HVPワクチン)」の現状について考察します。長い間、原因不明だった病気ですが、1982年にハラルド・ツァ・ハウゼン氏により、HPVというウイルス感染によって生じることが明らかになりました。ほとんどの女性が一生に一度感染するとされ、それが一部がんに発展してしまうのです。そこで開発されたのがHVPワクチンです。持たれた方々の映像と、ワクチン副反応被害を示す「HANS症候群」や「薬害」という表現を用いながら報道しました。これらの報道や被害者団体の訴訟を受け、政府はワクチンとの因果関係が明確になるまで、積極的な推奨をやめることを公表。その結果、一時接種者が1%を切るほど落ち込みました。それから10年たった2023年、HPVワクチン接種者と非接種者に同様の症状が見られる研究結果や、科学的根拠の蓄積により安全性が確立されたことを受け、政府はHPVワクチン推奨を再開しました。WHOによると、見受けられた症状は、接種を伴う不安が原因の「予防接種ストレス関連反応(ISRR)」であり、予防接種に対する地域社会の理解度や重要性を向上させることが、解決の緒につながるとされています。政府、医療・教育機関が正しい知識を伝えることが最も大切であると考えられます。HVPワクチンについて知ろう
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