THE NEWZ Vol.23 日本語
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4フランスでは、2007年にHPVワクチンが女児向けに導入され、2021年にはフランス国家衛生局(HAS)によってHPV対策を男児に拡大されました。フランスも日本と同様、50%以下の接種率と高所得国の中では最低基準になっていますが、男児向けの対策を打っている点でが日本よりも一歩前進しているといえます。2022年にパリで行われた研究では、情報の対立、HPVワクチンへの信用の低さがフランスでの接種率を低迷させていることが明らかになりました。調査結果の中には、「SNSが広がり、情報源が増えたからこそ何を信用していいのか分からない」「医者の中でも意見が割れているので判断が難しい」「副作用の研究報道から接種への不安が大きい」というような声みなさんは、「HPVワクチンは女性のためのもの」というイメージを持っていますか?もしかしたら、子宮頸がんを予防するものという認識かもしれません。しかしHPVは男性の罹患数が多い中咽頭がん等の原因でもあり、男性の予防によりパートナーの罹患率も下げることができます。近年では、男性向けのHPVワクチン接種が推奨される国が増えています。アメリカでは11〜12歳で接種が推奨され、最大26歳までキャッチアップ接種フランスと日本のHVPワクチン:フランスの現状 男性のHPV接種実態が上がりました。子供にワクチンを接種させた母親からは、「本当に正しいことをしたのか分からない」と接種後も悩んでいるケースも見受けられました。一方で性教育の中でHPVワクチについて学んだ学生たちにとっては、接種する決断をするべきという意見がほとんどを占めています。この状況を打開すべく、フランスの健康当局は”フランスのがん対策戦略2021-2030”の中で、HPVワクチンの接種率80%を目指し活動をしています。信頼を得るために、副作用が確認された場合の報告システムやメディア・学校での教育キャンペーンで正しい知見を広める活動、最新情報、安全性データの公開など積極的に取り組んでいます。が可能です。他にもオーストラリア、カナダ、イギリス、フランスなど多くの先進国が含まれています。現在の日本の制度では、政府の支援があるのは女性のHVPワクチンのみになっており、男性に対する普及はまだ十分とは言えません。男性がHPVワクチンを接種することで、HPV関連の疾患から自らを防ぐことが可能であり、各国や地域の取り組みがますます重要になるでしょう。

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