7 今回から、このレポートのチームに参画した蛭田です。よろしくお願いします。初めてのレポートなので、基本カナダ:カナダの医療制度は「シングルペイヤー制度」であり、国民が支払う税金を財源にして州が医療費を管理します。連邦政府は医療保険を管轄する州に資金提供を行い、州政府はその資金を病院や医師に分配します。さらにカナダでは各州で微妙な差異があるものの、医師は診療報酬を州から受け取り、患者からの直接の支払いがないため、医療従事者が経済的なインセンティブを持ちづらいという面もあります。また、医療機関は非営利で運営されるのが基本です。カナダ:カナダでは医療アクセスの基盤は家庭医(ファミリードクター)で、家庭医がすべての患者の初診窓口として機能します。家庭医は、特定の症状や病気がある場合に、必要に応じて専門医へ紹介状を書きます。専門医の受診には家庭医の判断が必要であるため、待機時間が長くなる傾向があります。特に大病や手術を必要とする場合には、数週間から数ヶ月の待機が発生することも多いです。アクセスが悪い地域や都市部以外では、家庭医自体が少なく、医療格差が問題とされています。カナダ:カナダでは多くの医師が「独立した事業者」として働いており、病院との関係も必ずしも固定されているわけではありません。医師は州から支払われる診療報酬が収入の主な源です。病院は非営利で運営され、州政府からの資金提供を受けて運営されます。病院の経営は政府や州が管理し、患者数や収益に基づいた経営インセンティブはありません。そのため、必要以上の医療提供を避けるという意図もありますが、医療需要に対する柔軟な対応が難しいこともあります。的な「日本とカナダの医療制度」の違いについて、触れていきたいと思います。日本:日本の医療制度は全国民健康保険(国民皆保険)制度で、財源は国、地方自治体、加入者が支払う保険料の3つで成り立っています。医療費のうち一部を患者が負担し、残りを保険や税金で補填する仕組みです。日本は「マルチペイヤー制度」を取っており、民間の健康保険組合も医療費を支払う主体として存在します。また、公的保険に加えて、民間の健康保険も利用されるため、医療従事者は診療報酬と患者の自己負担分を合算して収入を得られる仕組みです。日本:日本では患者が自由に医療機関を選択できる「フリーアクセス制」が特徴で、一般的なクリニックや病院を紹介なしで受診可能です。専門医の受診も紹介状なしで直接可能ですが、大病院では紹介状なしの場合に初診料が追加されることもあります。直接受診ができるため、医療サービスへのアクセスは良好ですが、その分、特に大病院では混雑が生じやすく、長時間待たされるケースもあります。日本:日本の医師は病院に雇用されているケースが一般的で、病院勤務や個人クリニックの開業も盛んです。医師が病院やクリニックで患者数に応じて収入を得るシステムもあり、経営的なインセンティブが働きやすい構造です。病院は公立と私立が混在し、特に私立病院は営利目的で運営される場合もあります。患者数が病院の収入に直結するため、自由診療などの医療サービスの拡充や、患者を積極的に集めるための工夫も行われています。 医療費の財源と配分方法 受診システムと専門医へのアクセス 医師と病院の雇用形態・運営形態ランガラカレッジ(バンクーバー、カナダ)日本とカナダの医療制度の細かな違い蛭田悠斗
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