9 日本とハンガリーの慢性疾患 これらの国は慢性疾患とどのように戦っているのか?高野内 翔太センメルワイス大学(ブダペスト、ハンガリー)医学部4年生として、異なる国々が同じ問題にどう対処しているのかということをたまに考えさせられます。病院実習に行く際によく目にする、長期入院を余儀なくされた患者たち。その背後には、どのような経緯や背景があるのかというのは非常に興味深いトピックであると言えます。心臓病、糖尿病、がんなどの慢性疾患患者数は、教科書の中の数字に過ぎず、慢性疾患、または非感染性疾患(NCDs)は、世界中で増加している病気の一種です。心臓病、糖尿病、がんなどの長期間にわたる病気を指し、通常は感染せず生活習慣や遺伝的要因に影響されます。日本では「生活習慣病」と呼ばれることも多々ありますが、実際には「生活習慣病」は「非感染性疾患」の一部であり、生活習慣に起因する病気を指します。これらは全世界で主要な死亡原因であるだけでなく、ヘルスケアシステムにとっても大きな負担となっています。日本:日本は世界でも有数の平均寿命の長さを誇り、女性は平均87歳、男性は約81歳まで生きます。しかし、非感染性疾患は死亡原因の約82%を占めており、主な原因はがん、心臓病、糖尿病です。1981年以来、がんは死亡原因のトップであり、2015年には全体の約29%を占めました。心臓病が2番目に多く、死亡要因の15%を占めています。さらに、日本の高齢化がこの問題を悪化させています。高齢者はこれらの病気にかかるリスクがより高いからです。日本のアプローチ:日本では、病気が発生する前に予防することに大きな重点を置いています。これは、治療に重点を置く多くの国と異なり、健康な生活習慣の維持を通じて病気の発生自体を防ごうとしているためです。「健康日本21」のようなプログラムは、人々に健康的な食事や運動、定期的な健康診断を奨励しています。2008年には、肥満やメタボリックシンドロームといった生活習慣病に対処するべく、義務的なプログラムが開始されました。このプログラムでは、毎年の健康診断でこのような病現実には何百万もの人々の日常生活や幸福に大きな影響を及ぼしています。日本とハンガリーは、非常に異なるヘルスケアシステムと文化を持ちながら、これらの疾患に独自のアプローチを採っています。この記事では、両国における慢性疾患の現状、その予防策、そしてそこから得られる教訓について掘り下げていきます。ハンガリー:ハンガリーはヨーロッパで、予防可能な疾患による死亡率が最も高い国の一つです。2018年には、10万人あたり326人が、これらの疾患で亡くなりました。主な原因は、肺がん、心臓病、アルコール関連疾患です。30歳から70歳までの間にNCDsで亡くなる確率は22%で、ヨーロッパの平均16%を大きく上回っています。また、喫煙や大量のアルコール消費など、不健康な生活習慣が高い発生率に大きく影響しています。日本と同様に、ハンガリーの医療システムもこれらの状況に対処する中で、より広範な社会経済的要因への取り組みが急がれています。気のスクリーニングが行われ、リスクのある人々には個別のアドバイスが提供されます。医療従事者不足の課題と対策
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