10 これらの取り組みは効果を上げているのか? 私たちが得られる教訓は何か? 結論ハンガリー:ハンガリーでは、無料の健康診断が病気の早期発見に役立っています。しかしながら、これらの取り組みにもかかわらず、ハンガリーはヨーロッパで、予防可能な疾患による死亡率の最も高い国の一つとされています。EOHSP(欧州保健システム政策観測所)の報告によれば、スクリーニングプログラムは早期診断の率を増加させたものの、慢性疾患の根本的な原因には十分に対処できていません。そのため、多くの人が不健康な食生活、喫煙、大量のアルコール消費といった問題をいまだに抱えているとされています。また、無料診断の提供にも関わらず低所得層の人々はフォローアップケアへのアクセスや、その後の治療費の工面に苦労しているのが現実です。解決するためには、健康的な生活習慣に関する教育を充実させるとともに、医療をより手頃で利用しやすくするための改革が必要です。日本では、生活習慣病の増加が、より効果的な健康教育とフォローアップサポートの必要性を示しています。ハンガリー では、予防可能な疾患による高い死亡率が、貧困や医療アクセスのような深刻な問題に取り組む重要性を浮き彫りにしています。しかし、その後のフォローアップが充実していない現状があるのは改善すべき点であると言えます。多くのことを考慮しなければならないということがわかりました。医学生として、これらの成功と課題から学び、慢性疾患を管理するためのより良いシステムを構築する手助けを、個人的にも考えていきたいです。ハンガリーのアプローチ:ハンガリーは病気の早期発見に重点を置いています。「包括的健康スクリーニングプログラム2010–2030」では、早期発見のために無料の健康診断を提供しています。このプログラムは、働く人々や社会的地位の低い立場にある人々を対象に、地域組織と連携して実施されています。また、ハンガリーは地域レベルの健康イニシアチブを検証するために世界保健機関(WHO)と協力しています。日本の包括的で義務的なプログラムとは異なり、ハンガリーのアプローチはコミュニティレベルの取り組みや地元の組織との連携を強調している点が特徴的であると言えます。日本:日本では、健康診断を通して、慢性疾患やそのリスクについての意識を高めることに成功しています。例えば、2008年に始まったメタボリックシンドローム早期発見プログラムは、病気が深刻化する前の早期発見に役立っています。ただし、個人が自身の健康に関する問題に気づいてもそれが必ずしも継続的な意識の変化につながるわけではありません。研究では、特に高齢者の間で糖尿病や高血圧などの病気が依然として増えていることが明らかになっています。また、医療費も毎年2%以上増加しており、その結果、国民への負担が一層大きくなっています。専門家は、ライフスタイルコーチングや個別のケアプランなど、より良いフォローアップサポートが不可欠だと提案しています。これにより、予防医療の促進、健康管理の質向上が期待され、医療費の抑制につながると考えられます。どちらの国も、病気の予防や早期発見が慢性疾患の増加に対処する鍵であると認識しています。日本の義務的な健康診断への重点と、ハンガリーの地域プログラムは、それぞれ強みを持っています。これらの取り組みから、予防プログラムを早期診断だけでなく継続的なフォローアップにつなげる重要性を学べるでしょう。また、地域社会やコミュニティを巻き込むハンガリーのアプローチは、より包括的な予防策を考える際のモデルになるかもしれません。NCDs=非感染性疾患は世界的な大きな問題ですが、日本とハンガリーはそれに対処するために国のプログラムや政策を通じて努力を行っています。しかし、根本原因に取り組み、人々が健康的な生活を維持できるようにするために、さらに
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