7 医療システムの概要蛭田 悠斗ランガラカレッジ(バンクーバー、カナダ) 専門医へのアクセスカナダと日本の医療システムは、どちらも国民に対して質の高い医療を提供していますが、その構造や特徴には大きな違いがあります。それぞれの制度の特徴や課題を比較し、以下にまとめます。日本:一方、日本も国民皆保険制度を採用しており、全ての国民が医療保険に加入しています。医療費の原則3割負担で、高額医療費制度により負担が軽減される仕組みがあります。日本では医療機関を自由に選択できるため、患者が直接専門医を受診することが可能です。この自由診療の仕組みは患者にとって利便性が高い反面、医療機関の過剰利用や医師の負担増加が課題となっています。日本:日本では患者が直接専門医を受診できるため、待ち時間が短いのが特徴です。予約不要で当日診療が可能な場合もあり、利便性は非常に高いです。しかし、自由診療の仕組みが医療機関の過剰利用につながり、医師や看護師の負担が増加する原因にもなっています。なお、紹介状なしで大病院を受診する場合、追加料金が発生するケースがあります。皆さんこんにちは前回に引き続きこのレポートのチームに参加させていただく蛭田です。今回は2回目ということでカナダと日本の医療の違いをより細分化して触れて行きたいと思います。よろしくお願い致します。カナダ:カナダは国民皆保険制度を採用しており、各州や準州が管理する公的医療保険制度(Medicare)が存在します。この制度では、必要な医療サービスが原則無料で提供され、診療費や入院費は税金によって賄われています。ただし、歯科治療や処方薬、眼科治療などは保険の対象外であることが多く、これらの費用は個人の負担または民間保険で補われる場合があります。医療サービスは家庭医(General Practitioner,GP)を通じて提供され、専門医を受診する場合には家庭医の紹介状が必要です。この紹介プロセスにより、患者は必要に応じた適切な治療を受けることができますが、待ち時間が長いという課題があります。カナダ:カナダでは専門医を受診する際、家庭医の紹介状が必須です。この制度により、医療リソースが適切に管理されていますが、紹介プロセスに時間がかかることがあります。2023年のデータによると、家庭医の紹介後、専門医を受診するまでの平均待ち時間は21週間に達しています。特に農村部や遠隔地では専門医へのアクセスがさらに難しく、遠隔医療(Telemedicine)の利用が試みられていますが、インフラや制度面での課題が残っています。カナダと日本の受診システムと専門医のアクセスの違い
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