THE NEWZ Vol.25 日本語
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ヨハン・ヴォルフガング・ゲーテ大学(フランクフルト、ドイツ)若林 大毅 ドイツのDiGAの特徴と仕組みDiGAの対象となるソフトウェア医療機器は、慢性疾患の管 近年、医療現場は高齢化、慢性疾患の増加、医療従事者不足など多岐にわたる課題に直面しており、医療サービスの効率化と質向上が不可欠とされています。こうした背景のもと、デジタル技術を活用した医療改革が世界的に注目を集めています。特にドイツでは、2019年に成立・施行された「デジタルヘルスケア法(DVG: Digitale Versorgung Gesetz)」を契機に、オンライン診療やデジタルヘルスアプリケーション ドイツでは、2019年に成立・施行された「デジタルヘルスケア法(DVG)」により、医師や心理療法士がオンライン診断とともにDiGAを処方できる仕組みが整いました。医療専門家が患者にDiGAを処方すると、患者は加入している健康保険に処方箋を提出し、保険会社から発行されるアクティベーションコードを使ってスマートフォンでアプリにアクセスします。これにより、患者は自らの健康管理に積極的に参加でき、医療現場のデジタル化が促進されます。理や心理療法の補助、リハビリテーション支援など、明確な医療目的を有する点が特徴です。そのため、欧州医療機器規則(MDR)に基づくCEマークの取得による安全性と品質の証明や、BfArM(連邦医薬品医療機器研究所)の品質・機能性・有効性基準、さらにGDPRに準拠した個人情報保護とセキュリティ対策など、厳格な要件を満たすことが求められます。(DiGA: Digitale Gesundheitsanwendungen)が医療制度に組み込まれ、保険償還の対象として運用されるようになりました。本稿では、まずドイツのDiGAの仕組みやその評価基準、導入の背景について解説すると共に、日本のデジタルヘルスケアの現状と課題についても考察し、両国の取り組みの違いと今後の展開について述べます。さらに、「DiGA Fast-Track制度」により、製品を開発する企業は、申請から最長3ヶ月で承認を得ることが可能です。十分な臨床エビデンスが整っていない場合でも、最大1年間の暫定登録が認められ、リアルワールドデータを通じて有効性を実証するチャンスが提供されます。こうした仕組みは、革新的な技術を有するスタートアップ企業の市場参入のハードルを下げ、結果として医療サービスの質向上と効率化に大きく寄与しています。具体的な例として、Deprexisという、うつ病治療をサポートするオンライン認知行動療法プログラムが挙げられます。医師がDeprexisを処方することで、うつ病患者は自宅で自分のペースで治療を進められるため、医師の対面治療と併用することで治療効果の向上やセラピストのリソース効率化を実現します。DeprexisにはAIによるパーソナライズ機能も備わっており、いつでもどこでも利用できる利便性が評価されています。8デジタルヘルスとソフトウェア医療機器の革新ードイツと日本における比較と今後の展望ー

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