THE NEWZ Vol.26 日本語
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10ウィルダネス アウェアネス スクール(シアトル、アメリカ)西山 七海 日本の離島:医療の現状 こんにちは。シアトルで自然関係の勉強をしているななです。シアトルはまだまだ雨シーズン。ですが、気温が徐々に上がり、春の訪れを感じています。植物たちも芽吹き始め、花を咲かせ、カエルたちは夜遅くまで、ゲコーゲコーと元気に鳴いています。皆さんが住んでいる地域では、どんな春が訪れていますか? 国土地理院によると、有人島は全国に305島。これらの離島では、若者の移住などの影響により、人口減少と高齢化が急速に進んでいます。公益財団法人日本列島センターの推計によると、2020年4月時点で全国の離島の人口は約60万人で、年間でおよそ1万人近く減少し続けている状況です。また、2015年の全国の高齢化率は26.6%であるのに対し、離島では34.2%と著しく高くなっています。このような人口の減少と高齢化に伴い、地域社会の機能が低下しています。具体的には、仕事の需要が減少し、若年層の定着が難しくなり、医療施設では縮小や学校の統廃合といった影響がみられています。 全国の離島には現在、54の病院と526の診療所が設置されていると言われており、離島医療の形態は地域医療から移動診療まで人口規模や立地条件などに応じて様々です。 しかし、2020年時点で離島の平均医師数は、人口10万人当たり154.5人と推計されており、全国平均の256.6人を大幅に下回っています。また、専門医の不在や、看護師・介護士の人材不足も深刻な課題となっています。また、沖縄県の竹富島のように観光客が多く訪れる離島では、来島者の体調不良の対応に医療リソースが割かれることもあります。ただでさえ、医療リソースが少ないため、こうした対応が求められることにより、住民の健康が脅かされる可能性も懸念されています。 今回は、「離島の医療システム」について日本と他の国々を比較してみました。離島だからこそ、医療面で直面するたくさんの困難があるようです。日本の離島での医療システムとその対策、そしてモルディブ島とアメリカのモロカイ島の医療システムに着目しました。それでは、早速みていきましょう!また、瀬戸内海に位置する、3つの島から形成されている村(人口約 900 名)では、2004年時点で村全体の高齢化率は 51.32%と深刻な高齢化が進んでいます。この地域で行われたメンタルヘルスの研究によると、独居や高齢者夫婦のみの世帯が増加傾向にあり、数日間誰とも会話せず、何処にも外出しないという高齢者の存在が多く確認されました。また、高齢者の抑うつ傾向は都市部の高齢者に比して高く、特に女性の抑うつ傾向が強くみられるという結果も報告されています。離島の医療システム

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