アメリカの大学スポーツにおける医療連携 日本の大学体育会における医療支援9 また、トレーナーはスポーツのコーチとも密に連携しており、怪我の状態に応じて練習内容の調整や出場可否の判断、練習時間の制限なども積極的に提案・管理しています。このように、トレーナーは医師だけでなく指導者との間にも強い連携体制を築いています。 一方で、日本では国民皆保険制度により、診察や手術、リハビリなどの医療費を保険でカバーできるため、アメリカと比べて医療へのアクセスが経済的に確保されているという利点があります。この点は、学生アスリートにとって大きな安心材料となっています。アメリカの大学スポーツにおいては、アスレティックトレーナーが選手のケアの最前線に立ち、医師と対等に意見を交わしながら怪我の評価や治療方針を検討します。大学には専用のトレーナールームが併設されており、アイスバスや電気刺激治療などの設備が整っていて、選手は少しでも違和感を覚えた時点ですぐにトレーナーの元を訪れます。 日本の大学体育会では、アスレティックトレーナーは主にストレッチやテーピング、リハビリ指導など、怪我の予防や回復支援を中心に活動しています。実際の治療は原則として医師の領域とされており、選手が怪我を負った場合は整形外科やスポーツクリニックなど外部の医療機関を受診するのが一般的です。トレーナーは診断や治療に直接的には関与せず、回復過程を支える役割にとどまります。
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