THE NEWZ Vol.27 日本語
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日本のメンタルヘルスへの取り組み16センメル大学(ハンガリー)高野内 翔太 はじめに 日本のメンタルヘルスの課題 上記の課題がある一方で、パンデミックをきっかけに、オンライン診療やデジタルカウンセリングの導入が進み、メンタルヘルスのケアへのアクセスが大幅に向上しました。対面でのカウンセリングを敬遠していた人も、オンラインを通じて気軽に相談できるようになり、利用者が増加しています。 また、学校でのメンタルヘルス教育が広がり始め、若い世代を中心にメンタルヘルスへの理解と偏見の解消が進んでいます。こうした取り組みにより、若者の間で心の健康に関する意識が徐々に高まっています。 COVID-19のパンデミックは世界中の人々に大きな影響を与え、健康や経済、日常生活を一変させました。その中でも特に深刻なのがメンタルヘルスの問題です。しかしこの問題は「沈黙の危機」と呼ばれるほど、十分な注目を集めていません。医療現場は落ち着きを取り戻しましたが、メンタルヘルスの問題は長期的に続いています。 本稿では、日本とハンガリーにおけるパンデミック後のメンタルヘルス問題を比較し、それぞれの現状と改善点を見ていきます。 日本ではメンタルヘルスに関する社会的な偏見(スティグマ)が根強く残っています。このため、心になんらかの問題があったとしても周囲に相談したり専門家に助けを求めたりする人はまだ少ないのが現状です。COVID-19の影響で、特に若者を中心に不安やストレスが増加し、若い女性や10代の若者の自殺率が高い状態が続いています。 また、孤立感や経済的不安、将来への不確実性も依然として人々のメンタルヘルスに悪影響を与えています。特に若者は、COVIDのパンデミックによって起こった学校生活の混乱や就職難により不安やうつを抱えています。日本のメンタルヘルスケアの体制は依然として十分に整っておらず、多くの人が専門的な支援を受けられていません。静かに迫る危機: パンデミック後のメンタルヘルス

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