THE NEWZ Vol.27 日本語
6/21

5トロント大学(カナダ)黒川 夢カナダで学んだセルフラブの大切さ 日本における外見に対する自己認識の現状 この考え方が私たちZ世代をはじめ日本社会全体に広まってほしいと言う思いから、この記事では 外見に対する自己認識と若年女性のメンタルヘルスの観点から日本とカナダを比較していこうと思います。 また、冒頭で触れた“独立的自己理解”とは対照的に、日本では「他人からどう見られるか」を重視する“相互依存的自己理解”の考え方が主流です。このような価値観に基づく日本は、“Ritualist(形式主義的文化)”に分類されており、社会から定められた「正しい型」にはまることが求められる強い同調圧力の中で生きることが求められます。 さらに、こうした文化的な傾向はメディアによって助長されています。日常的にSNSや広告を通じて情報を受け取る私たちは、それらのメディアによって発信される「細く色白で美しい」といった画一的な美の基準を「女性のあるべき姿」として無意識のうちに受け取り、日々自分自身との比較をします。そして、たとえそれらが加工された画像であると理解していてもその理想に届かない自分を否定してしまい、比較のループから抜け出せなくなってしまうのです。 みなさん、はじめまして。カナダでメンタルヘルスと経済学について学んでいる、ゆめです。 私がカナダにきて初めての1年目が終わりました。何をするにもつい周りを気にしすぎてしまう、おそらくそんな生きづらさを感じたことがあるのは私だけではないと思います。でも、そんな私がカナダに来てから「なんだか生きやすいかも」と感じることが多くなりました。その理由を考え、たどり着いたのが、多様性から生まれた他人の価値観ではなく自分自身を好きでいるという考え方、すなわち“独立的自己理解” でした。上記のグラフからもわかるように、この調査では10代の日本人女性の93%が「自分の容姿に自信がない」と回答しており、これは調査対象国の中で圧倒的に最も高い数値となりました(Dove, 2017)。この結果は、「謙虚であることが美徳」とされる文化的圧力、そして日本社会に深く根づいたルッキズムの問題点を映し出しているとも取れるでしょう。外見に対する自己認識の違いとメンタルへルス

元のページ  ../index.html#6

このブックを見る