THE NEWZ Vol.28 日本語
5/23

【若年層向け施策の再構築】日本においては、予防医療制度の対象年齢を拡大し、若年層が利用しやすい検診制度(オンライン健診など)の整備が必要です。また、ドイツのように保険者が予防医療および健康教育の主体となる制度を導入することで、より包括的な予防体制の構築が期待されます。 予防医療と健康教育の制度的整備は、国家の医療財政と国民のQOL(Quality of Life)の両面にとって極めて重要です。日本とドイツの比較を通じて明らかになったのは、制度の「包摂性」と「継続性」こそが予防行動を支える鍵であるという点です。今後の日本においては、若年層が安心して健康リテラシーを高められるような医療と教育制度の整備と積極的に参加できる機会づくりが必要です。 【学校教育から社会への接続】日本でも、学校教育・地域社会・職場・保険制度が連携した「生涯健康教育モデル」の構築が求められます。SNS 利用の長時間化、孤独、ジェンダー問題など、現代的リスクに対応した教育内容の刷新と、公的医療保険公認の医療アプリでオンライン健診を予約など、簡単にアクセスできる制度の整備が必要です。日本の若年層は、健診制度の対象から外れやすく、図1のように特に 20 ~ 30 代では受診率が低い傾向が続いています。また、正規雇用者の受診率が約 90%であるのに対し、非正規雇用者や無職者では大きく下がり、制度的な格差が存在しているのも現状です。特定健診は 40 歳以上を対象としており、若年層向けの予防医療は制度上手薄であるため、こうした状況は、健康格差の固定化や将来の医療費増加のリスクにもつながる可能性があります。今後は、年齢や雇用形態を問わない受診機会の整備と、啓発政策が急務である。一方、ドイツでは、保険加入者に対する予防健診の案内、参加型プログラム、ポイント制などが整備されており、制度そのものが予防行動を促進する仕組みになっています。 おわりに3. 若年層における予防行動と制度的支援4. 比較と課題点4

元のページ  ../index.html#5

このブックを見る