グリネルカレッジ(アメリカ)齋藤 伶央1. はじめに 2 コロナ禍前、禍中、その後のマスクの役割ことをとても嬉しく思っていました。しかし、コロナ禍が終わった今、その高い衛生面の意識は継がれたのか、それとも過去の遺物となってしまったのか?大都会の東京、そして田舎のアイオワという対照的な場所に暮らして得た視点、そしてデータを合わせてこれらについてレポートしていこうと思います。これらの背景を踏まえた上で、コロナ禍が終わった今のマスクの現状を説明していきます。日本ではコロナ禍が終わった今もマスク着用し続ける人は一定数存在し、一部の人にとってはファッションアイテムにすらなっています。昔は白い、平らな不織布マスクが一般的でしたが、コロナ禍の途中から布マスク、ウレタンマスクなど様々なデザイン性に富んだマスクが流行し、不織布マスクでさえカラフルで立体的なマスクがオシャレかつ化粧が崩れにくいといった理由で、コロナ以前と比較すると非常に需要が高まりました。しかし、現在アメリカではほぼマスクをしている姿は見られなくなり、皆再び自己表現のために口元を出すようになりました。実際にコロナ禍後(2024 年)のマスクの着用率のデータを比較してみると、日本とアメリカでは大きな違いがあるのがわかります。アメリカでは 8 割の大人がマスクをまったく着用しないと回答しているのに対し、日本では 14% しかまったく着用しないと回答していません。そのうえ、65% の人は現在も日常的にマスクを着用すると答えています。初めまして。今回から The NewZ の記事を書かせていただく齊藤伶央です。私は現在アメリカの田舎のアイオワ州 の Grinnell College と い う 小 さ い Liberal Arts Collegeで Computer Science を勉強しています。専攻とはあまり関係がないのですが、私は小さいころから菌に対する意識が高く、衛生管理に関しては徹底する性格だったため、コロナ禍による全世界の衛生面に対する意識が向上した昔から感じていた日本とアメリカの大きな違いの一つとして、マスクの普及率でした。日本では、以前から体調が悪いときやインフルエンザが流行しているとなればマスクを着用するのは普通でした。しかし、アメリカではマスクというものは日常生活に組み込まれたものではなく、あくまでも病院で医師や重症患者がつけるものという認識が強かったと思われます。しかし、コロナ禍が突然到来し人々は 3 密を避けることが必要になり、そのうえでウイルスを移さないためにマスクを着用するのが必須となりました。日本はマスクをつける文化が根付いていたため、このマスク社会をすんなり受け入れることができました。しかし、アメリカでは口元は自己表現をするのに重要な役割を果たしていたためか、相手の表情がわからなくなってしまうことを懸念し、日本に比べると簡単には受け入れられませんでした。日本人からしたら、口元を隠すのに対しそこまでの抵抗があることを理解するのは難しいかもしれませんが、日本とアメリカで使われている顔文字を比較してみると、少し分かりやすくなるかもしれません。日本では ^_^、o_o や ;-; といった顔文字を用い、目元が表情を表す中心となっています。それに対し、アメリカでは ;) :D や :o など口元が表情を表す中心となっています。日本ではサングラスに抵抗を持つ方も一部いると思いますが、アメリカ人にとってのマスクは我々のサングラスと同じような存在なのです。5ポ ス ト・ パ ン デ ミ ッ ク 時 代 の 日 常 生 活 に お け るCOVID-19 の影響
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