ウィットマン・カレッジ(アメリカ)唐司 京香1. はじめに2. アメリカの保健医療制度4. アメリカと日本における医療費格差• 国民皆保険(すべての国民が何らかの公的保険に加入)• 運営主体:公的((政府、地方自治体、健康保険組合など)• 加入義務:あり• 自己負担割合:原則3割(高齢者や子どもは 1 ~ 2 割)• 保険料の支払い方法:所得に応じて徴収(会社員は給与天引き)• 医療機関の自由選択:あり(紹介状なしでも大病院可。差額ベッド代などは自己負担)以上のように保険制度の特徴を見ると日本では公的制度により、誰もが一定水準の医療を低価格で受けられることがわかります。また、アメリカでは 医療の質は高いが、費用が非常に高く、保険未加入者は医療にアクセスしにくいことがわかります。1. 居 住州 別 医 療 費(Health Expenditures by State ofResidence):人々が住んでいる州ごとの医療費2. 医療提供者州別医療費(Health Expenditures by Stateof Provider):医療を提供している病院や施設がある州ごとの医療費こ れ ら の デ ー タ は「State Health Expenditure Accounts(州別医療費データ)」と呼ばれ、アメリカ全体の医療費 を ま と め た 公 式 な 統 計「National Health Expenditure Accounts(NHEA)」の一部です。みなさんこんにちは。アメリカにあるウィットマン・カレッジの 2 年生を終えたばかりの唐司京香です。アメリカで2年間過ごしている中で医療費が高いと思っていてもどうしても医療機関を受診しなければならない時があり、その際に日本と大きく違う制度に直面した経験を元に、アメリカと日本の保険制度・医療制度の違いに興味を持ちました。本記事ではそれらの違いをより深堀していきたいと思います。保有する保険により年間免責金額、定額負担、負担割合等が異なります。• 民間保険中心(公的保険は一部のみ対象)• 運 営 主 体: 民 間 保 険 会 社 + 一 部 公 的(Medicare,Medicaid など) • 加入の義務:なし(2019 年以降、連邦レベルでは加入義務廃止)• 保険料の支払い方法: 個人または雇用主が保険料を支払う(所得連動ではない) • 自己負担割合:高い(自己負担・控除額・コインシュアランスなど複雑) • 医療機関の自由選択:保険のプランによって制限される(ネットワーク外は高額)アメリカは医療の技術が非常に高く、最先端の治療や設備が整っています。しかしその一方で、医療費がとても高いという特徴があります。その理由のひとつは、「自由診療」という仕組みで、病院が自分たちで治療費を決めることができるからです。さらに、アメリカの医療費は州や地域によっても大きく異なります。アメリカ政府の「メディケア・メディケイド・サービス・センター(CMS)」にある「保険数理室(Officeof the Actuary)」という部署では、5 年ごとに次の 2 つの医療費データを作成しています。3. 日本の保険制度7アメリカと日本の保健制度・医療制度の違い
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