THE NEWZ Vol.29 日本語
12/21

羽角恭一1. はじめに2. 日本の喫煙率と分析ブカレスト大学(ルーマニア)Bună ziua! 現在ルーマニアに留学中の羽角です。ルーマニアに来てから、日本では見かけることが少なくなった、路上喫煙をしている人がとても多いことと路上にポイ捨てされている吸い殻が多いことに気づきました。そのため、2 回目の執筆になる今回は、日本とルーマニアの喫煙率の違いについて書いていきたいと思います。( このレポートにおける喫煙は紙タバコでの喫煙を指しています )( 平成元年から令和 5 年までの日本人の喫煙率の推移 ) (タバコ 1 箱あたりの費用と税金の内訳)近年日本ではタバコに対して取り締まりが厳しくなり、2020 年に受動喫煙防止のため、屋内は 原則禁煙になりました。路上喫煙も多くの自治体が禁止としており、歩きタバコおよびポイ捨てなどに対しても罰金等の罰則化も進んでいます。実際に、日本における成人の喫煙率は1995 年以降減少傾向にあり、令和 5 年時点での喫煙率は約 16% ( 男性 25.6%, 女性 6.9%) です。この割合は平成元年と比べると約半分の割合に留まっており、政府の喫煙に対する活動が効果的に作用していることが分析できます。また 20~29 歳の若年層の喫煙率も低下しており、若者のタバコ離れが進んでいることもわかります。主な理由として、先ほども述べた分煙および禁煙に関する法律整備が十分になされていること、タバコ広告の制限、学校教育を通したタバコの健康リスクの認知の普及がなされていること等が挙げられます。また、日本のタバコ税は一箱あたり 62% と高めであり、タバコ本体の価格も年々上昇しているので経済的な視点からタバコをやめる人がいることも喫煙率低下の一端を担っていると考えられます。その上、日本人の国民性も喫煙率低下に貢献していると思います。周りに合わせる能力が高かったり、同調圧力が非常に強かったりする日本人の性格上、前述した健康 リスク(受動喫煙や胎児への影響)が認知されている現代で、周囲の目を意識しながら喫煙をするのは難しくなっているのではないでしょうか。時として批判さ れがちである日本人の国民性が健康増進に貢献していると考えるととても興味深いですね。 ( 令和 7 年のルーマニア人の喫煙率)一方のルーマニアですが、日本と比べて喫煙率がとても高いです。令和 7 年における喫煙者の割合は約 29% (男性 37.6%, 女性 21%)であり、日本と比べて全体でおおよそ 2 倍の喫煙率、女性に関しては日本の約 3 倍の喫煙率です。共産圏時代のルーマニアでは、タバコ産業が国営で管理されており、人々が安価で簡単にタバコを手に入れることができました。結果としてタバコは手軽な趣向品として文化的に定着したという歴史的背景が存在します。また共産主義時代の物資不足が常態化していた中3. ルーマニアの喫煙率と分析11日本とルーマニアの喫煙率の違い

元のページ  ../index.html#12

このブックを見る