1. はじめに13松崎 志穂2. ほどほどに生きる、ラーゴムという概念ルンド大学、スウェーデン みなさん、こんにちは。The NewZ Vol.30 に携わらせていただく松崎です。Vol.27 では、スウェーデンにおける医療制度の運営方式について紹介させていただきましたが、今回の記事では、支援の在り方についてみなさんに発信していきたいと考えています。よろしくお願いいたします。 私自身スウェーデンの大学での授業を通して様々なスウェーデン社会が軸としている価値観や文化について学んできたのですが、それらが医療における支援の在り方にも強く反映していると感じました。価値観に関する授業では、初回授業から教授が声を大にして、スウェーデンでは、三つのもの、犬、車、そしてサマーハウスが揃うと最大限のハピネスを得られ、それ以上は何も望まないと紹介していたことが、とても印象的です。この背景には「ラーゴム」という概念、スウェーデンの生活にとても根付いている考え方が存在していました。ラーゲトオムという言葉が省略されてできたラーゴムというスウェーデン語は、遠く昔のバイキング時代から存在しているとされ、日本語に訳すと「適度な」というようなニュアンスになります。何に対しても「ほどほど」を良しとし、ちょうどいいからこその快適さ、自分らしい、かつ無理のない、我慢のない生き方が重視されます。この考えは働き方にも見られ、頑張りすぎないやり方が主流なため、医療機関に診察に行くと担当医が休みというケースもしばしばあるのだとか。ストレスなく、心身を健康に保ちながら、頑張れそうな範囲で仕事をする。常に追い込み、過労死などが問題視されている日本の仕事の在り方において、考え直させられる環境例かもしれません。スウェーデンと日本の医療支援方法
元のページ ../index.html#14