THE NEWZ Vol.30 日本語
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7  国際基督教大学、タイ・日本宮島 莉嘉1. はじめに2. 医療観光とは? こんにちは。国際基督教大学 2 年の宮島です。私は以前、「タイの医療翻訳制度について」のレポートを書かせていただいた際に、タイを含むアジア諸国が近年、国際医療観光の目的地として世界中から注目を集めていることを学びました。特に、アジア圏の医療観光先進国では、高度な医療専門人材や整った医療施設が質の高い医療サービスを支えており、それが大きな強みとなっています。そこで今回は、タイを中心に、アジアにおける国際医療観光の現状と、その発展の背景にある要因について考察してみたいと考えています。 みなさんは「医療観光」とはどのようなものかを知っていますか?医療観光は「メディカルツーリズム」とも言われ、診察や治療、健康増進などの医療サービスを受けることを目的に自らの居住地を離れて国外または国内の別の地域を訪れ、その過程で観光も行うことを指します。医療観光客が求める医療サービスの内容は主に 3 つのカテゴリーに分けられます。1 つ目は「健康診断」、2 つ目は「治療」、そして 3 つ目が「美容・療養」です。中でもアジア地域では「美容・療養」のカテゴリーに分類される医療観光が近年大きく成長しており、多くの観光客を引きつける要因となっています。表 1 医療観光の主なカテゴリー 実際に表 2 の世界の医療観光目的地トップ 30 を見てみると、主要な医療観光国がアジア、ヨーロッパ、北米、中南米といった地域に広く分布していることがわかります。表2 世界の TOP30 医療観光目的地国 これについて、国際医療観光国はそれぞれどこの国の人が来ているのでしょうか?表3世界の医療観光客の目的地・送出地構造(単位:%) 表2と比較すると、表3ではヨーロッパ地域全体のプレゼンスが大きく低下していることがわかります。一方でアジアと北米の存在感が高まっています。特にアジアは顕著です。アジアはオセアニア、アフリカ、アジア域内の近隣諸国、北米、そしてヨーロッパからの医療観光客にとって第一の目的地となっており、中東からの医療観光客にとっても第二の主要な目的地となっています。このように、アジアが国際医療観光において訪問先として世界をリードする存在になっていることは、すでに広く認識されています。それでは次に、アジア、特にタイにおける医療観光の発展の実態とその成長を支えている要因について考察していきます。アジアにおける国際医療観光の現状と、その発展の背景にある要因

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