3 ブカレスト大学(ルーマニア)羽角 恭一日本の健康被害を伴う飲酒を行なっている人の割合急性アルコール中毒の危険性と事故が起こりうる理由について考察 Salut! 現在ルーマニアに留学中の羽角です。今回は前回の喫煙率に関連して、飲酒率の比較とそれに伴う健康被害についてのレポートを皆さんにお届けしようと思います。(生活習慣病のリスクを高める量を飲酒している人の割合の年次推移) 厚生労働省の調査によると、健康被害のリスクを高める飲酒を行なっている人の割合(1 日当たりの純アルコール摂取量が男性で 40g 以上、女性で 20g 以上の人)は、男性全体で14.1%, 女性全体で 9.5% になっています。具体的な量で言うと、500ml ビールがピッタリ純アルコール量 20g です。 (急性アルコール中毒を発症した人の世代別人数)自分が普段どれくらいの純アルコール量を摂取しているか気になっている方は「お酒の量 (ml)x アルコール度数 (g)x0.8」で求められるのでぜひ計算してみてください。また、各年代別に見ていくと、男性は 40 歳代・女性は 50 歳代の方々がリスクを高める飲酒をしている割合が一番高かったです。(それぞれ 23.6%・14.6%) 考えられる理由としては、男性の方は会社の飲み会や接待などで飲酒する機会が多いことや、仕事・家庭・昇進などでストレスがピークになる世代であるためアルコールをストレス解消に使う人が多いという考察ができます。女性の方は更年期によるストレスや不眠を飲酒で解決しようとする人が増えることが主な要因であると考えられます。言うまでもなく、このような過度な飲酒が続くと短期的には記憶力や判断能力の低下を招き、二日酔いさらに急性アルコール中毒による死亡事故につながる可能性もあります。長期的には肝障害、膵炎や糖尿病、心疾患、高血圧、胃腸障害、がんなど体の問題が起こりやすくなるだけでなく、睡眠障害やうつ病といった精神面の問題を招きます。 前述した急性アルコール中毒による事故は 20 代に特に顕著にみられ、法的には禁止されている未成年での中毒者も一定数存在しています。20 代、特に大学生はサークルや部活での飲み会に参加する機会はたくさんありますがお酒を飲み慣れておらず、自分のキャパシティを理解していない人が飲み過ぎてしまうのではないでしょうか。またそういった飲み会では、俗に言う「飲み会コール」につられて無理に飲んでしまう、飲まされる場面が多いのも若い人たちの急性アルコール中毒発症率が高い理由として考えられます。個人的にはたくさんお酒を飲める人が羨望の眼差しを浴び、目立ってしまう日本の大学生特有の価値観を払拭しなければ今後もこういった事故が減ることはないかと思います。日本とルーマニアの飲酒率の違いと健康被害について
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