7 見やスティグマが患者の社会生活や回復に大きな影響を与えていることを実感しています。特に、「危険」「予測不可能」といった偏見は現在でも根強く残っており、それらが患者の社会的孤立につながる要因になっていると考えられます。<統合失調症の原因 – 脳の働きとの関係> 統 合 失 調 症 は、 性 格 や 心 の 弱 さ が 原 因 で 起 こ る も の では な く、 脳 の 働 き や 神 経 伝 達 物 質 の バ ラ ン ス な ど、 さま ざ ま な 要 因 が 関 係 し て 発 症 す る と 考 え ら れ て い ま す。 特に、脳内で情報を伝える dopamine(ドーパミン)という神経伝達物質の過剰な働きが関係しているとされており、そのバランスの乱れが幻聴や妄想などの症状につながるとされています。また、近年では、記憶や感情に関わる海馬(hippocampus)や、思考・判断を担う前頭前野(prefrontal cortex)の機能変化についても研究が進められています。 しかし、重要なのはこれらは「脳機能の違い」であり、統合失調症の人自身が危険な存在であることを意味するわけではないということです。そのため、脳や症状について正しく理解することは、スティグマを減らす上でも重要であると考えられています。<統合失調症の人びとの経験する世界を知る> この画像は、実際に私も受講したトロント大学の授業で、統合失調症患者がどのように世界を認識しているのかを体験的に理解するために使われた画像です。統合失調症を経験したことのない私たちにとって、患者が日常でどのような世界を経験しているのかを想像することは簡単ではありません。人は、自分が理解しきれないものに対して、不安や恐怖を抱きやすい傾向があります。そのため、まずは統合失調症患者がどのような経験をしているのかを知ることが、スティグマを減らす第一歩になるのではないかと考えられています。他 に も、 幻 聴 を 疑 似 体 験 で き る 動 画 も 存 在 し て お り、 症状 へ の 理 解 を 深 め る 取 り 組 み が 進 め ら れ て い ま す。 統合失調症という精神疾患を聞いたことがあるでしょうか。統 合 失 調 症(schizophrenia) と は、 幻 覚 や 妄 想、 認 知 機 能 の低下などを伴う精神疾患の一つです。特に、実際には存在しない声が聞こえる幻聴や、誰かに監視されていると感じる妄 想 な ど、 現 実 認 識 に 困 難 が 生 じ る 症 状 に 特 徴 づ け ら れ ま す。 しかし、研究で明らかになっているのは、統合失調症患者を苦しめているのは症状そのものだけではないということです。患者たちは、社会的スティグマによる偏見や差別、そして周囲から拒絶されることへの恐怖にも苦しんでいます。実際に、職場で周囲に負担をかける存在として見られたり、病気を打ち明けたことで周囲の態度が変わってしまったりするケースも報告されています。 私自身も、臨床心理学の授業で統合失調症について学ぶ中で、この疾患が一般社会において非常に誤解されやすく、十分な理解を得られていない精神疾患の一つであると強く感じました。現在、トロント大学でリサーチアシスタントとして統合失調症に関連する研究に携わっていますが、その中でも、統合失調症に対する偏図 1. 統 合 失 調 症 患 者 の 体 験 世 界 を 表 現 し た ア ー ト 作 品(Christopher/XORADMAGICAL)。Newsweek 記 事 よ り 引 用。 黒川 夢トロント大学 ( カナダ ) 1. はじめに統合失調症に対する社会的スティグマの構造と克服に向けた課題
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