THE NEWZ Vol.38 日本語
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8 people living with schizophrenia in Japan: A qualitative study” では、実際に地域で生活する統合失調症患者の lived experience(生きられた経験)が詳しく語られています。この研究では、日本で地域生活を送る 9 人の統合失調症患者に対してインタビューが行われ、彼らが日常生活の中でどのような困難を経験しているのかが調査されました。結果として、多くの患者が「周囲に病気を知られることへの恐怖」を抱えており、「病気を打ち明けると態度が変わる」「理解されない」といった不安を感じながら生活していることが明らかになりました。また、「孤独感」や「自分の苦しみを誰にも伝えられない感覚」を抱える患者も多く、中には「死にたい」と感じるほど精神的に追い詰められていたと答えた回答者もいました。 この結果からわかるのは、患者たちが症状そのものだけではなく、自分の苦しみを誰にも理解してもらえない孤独感や、偏見の目で見られることへの恐怖と闘いながら生活しているということです。この研究は、統合失調症患者がより安心して生活できる社会を実現するためには、社会的スティグマを減らしていくことが重要であることを明確に示しています。 また、Lecomte et al.(2022)では、近年のカナダにおける統合失調症研究ネットワークの取り組みについて述べられています。この論文では、統合失調症による苦しみは症状そのものだけではなく、失業や孤立、偏見などの社会的要因によってさらに深刻化することが強調されています。特に、統合失調症患者に対するスティグマを減らすことは、患者の回復や社会参加を支える上で非常に重要であると示されています。そのためカナダでは、研究者だけではなく、当事者や家族、医療従事者、地域社会が協力しながら、精神疾患への理解を広げる活動が進められています。実際に、学校でのメンタルヘルス教育や、SNS・動画を用いた啓発活動なども行われており、精神疾患について正しく知ることがスティグマ軽減の第一歩として重視されています。 このように、カナダでは、精神疾患を特別なものとして隔離するのではなく、社会全体で理解し支えていこうとする姿勢が広がっています。もちろん、カナダでもスティグマが完全になくなったわけではありません。しかし、日本と比較すると、精神疾患についてオープンに話すことや、当事者の声を社会に届けることが、より積極的に行われている点は大きな特徴であると言えるでしょう。 日本では、他の先進国と比べても、統合失調症を含む精神疾患に対する社会的スティグマが現在でも強く残っていることが、多くの研究によって指摘されています。今回は、その代表的な研究の一つである、オーストラリアと日本の人々の精神疾患に対する認識を比較した Griffiths et al.(2006)の研究について紹介します。 この研究では、日本の回答者の方がオーストラリアの回答者よりも精神疾患に対してより強いスティグマや社会的距離を示す傾向があることが明らかになりました。例えば、「統合失調症患者は予測不可能である」と考えた人の割合は、オーストラリアでは約 54% であったのに対し、日本では約 73%という結果でした。また、「統合失調症患者は危険である」「近所に住んでほしくない」「一緒に働きたくない」といった社会的距離を示す回答も、日本の方が高い割合で見られました。   さらに、この研究では統合失調症は、幻聴や妄想などの理解されにくい症状を伴うことから、うつ病よりも危険、予測不可能とみなされやすいことも示されています。特に、慢性的な統合失調症に対しては、より強いスティグマが向けられていることが明らかになっています。実際に、日本では「統合失調症患者を政治家として支持したくない」と回答した割合も高く、統合失調症患者が社会参加の機会が制限されやすい現状が見て取れます。<統合失調症患者の生きられた経験>Nagata et al.(2021)“Experiences and perceptions of  日本での社会的スティグマの現状を理解したところで、次に、カナダでは統合失調症を含めた精神疾患に対する社会的スティグマを減らすためにどのような取り組みが行われているのかを見ていきます。カナダでは、精神疾患に対するスティグマを軽減するための取り組みが国レベルで積極的に行われています。特に、Mental Health Commission of Canada(カナダ精神保健委員会:MHCC)を中心に、学校教育や医療現場、地域社会など、さまざまな場面でスティグマ軽減プログラムが実施されています。 Guruge et al.(2017)では、カナダ国内で行われた 35 件のスティグマ軽減プログラムに関する研究をまとめて分析しています。この研究では、特に効果が高かった方法として、実際に精神疾患を経験した当事者の話を聞く、接触型プログラムが挙げられています。その理由としては、単に知識を教えるだけの教育よりも、精神疾患を抱える人々を自分たちと同じ社会で生活する一人の人間として理解する機会になるためだと考えられています。 実際に、統合失調症や双極性障害などを経験した当事者が、自らの生きられた経験について学生や医療従事者に語ることで、危険、予測不可能といった固定観念が軽減され、精神疾患に対する理解や共感が高まる傾向が見られました。 2. 日本における統合失調症への社会的スティグマ 3. カナダにおけるスティグマ軽減に向けた取り組み

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