セミナー情報

GHCC医学同時通訳養成キックオフセミナー

GHCCでは、近年のグローバル・ヘルスケア・コミュニケーションにおける医学専門の同時通訳者ニーズの高まりを受け、去る2019年12月7日に、「同時通訳養成セミナー」を開催しました。
この仕事に関心を持つ現役通訳である受講者に対して、製薬企業、並びに医療従事者からは通訳への具体的な期待を、そして長らくこの仕事で活躍している医学専門の同時通訳者からは専門性を高める、キャリアアップのための具体的な取り組みの在り方について助言しました。

講師

1) 基調講演~実践ワークショップ・モデレーター

「”医学通訳”になるために必要な方法・手段とは?」
北山ユリ氏(会議通訳者)
世界心臓学会をきっかけに医学通訳に惹かれ、微生物学などの基礎科学から臨床まで学会を中心に担当。1986年、科学誌Natureが日本で行った第一回シンポジウムの仕事がきっかけで「分子生物学」に夢中になる。現在は生命倫理の分野に強く傾倒し、大学の研究所や倫理審査委員会の委員も務める。

【講演者からのメッセージ】
手始めに、英文の医学論文を何本か読んでみませんか。医学の世界は(医療ではありません。念のため)非常に論理的で規則性がある世界です。一度、パターンを飲み込んだ後は、思ったよりも簡単に内容を理解できることに驚くはずです。例えば今、一番ホットな遺伝子編集に関しても、高校生物レベルの知識で最低限の対応が可能なのです。逆にいえば、顧客から「求められる」医学通訳へと成長するにはさらに一歩、踏み込んだ情熱と知識欲が必要でしょう。
医学研究および創薬のグローバル化に伴い、医学通訳が活躍する場は学会や研究機関に留まらず、大手の製薬企業、バイオベンチャー、さらにはGAFA(Google、Apple、Facebook、Amazon)に代表されるヘルステック企業へと拡がっています。医学通訳に要求される技能や知識も大きく変わっていくでしょう。
基調講演では私自身の経験を踏まえながら、具体的に「あなたがなりたい医学通訳」へのルートを描けるよう、医学通訳に求められる技能と医学の基本的理解を身につけるために、何をどう学ぶべきかをお話しします。

2)招待講演 Vol.1

「医療・製薬業界の基礎知識~理解度によって医学通訳のクオリティが変わる」
箕部泰生氏(日本製薬工業協会 広報部長)
※第一三共株式会社ASCA: Asia, South and Central Americaカンパニー事業企画部より出向)
1991年三共株式会社(現、第一三共)入社、90年代はアジア、欧州地域の事業展開に従事、2001年以降、広報業務に従事、東京本社との密な連携に基づくグローバルなコーポレート機能体制の構築に貢献。16年〜ASCA(Asia, South and Central America)カンパニー事業企画部、17年より日本製薬工業協会広報部に出向し、新薬メーカー72社からなる業界団体での広報業務に従事。現在に至る。

【講演者からのメッセージ】
いわゆる処方薬(医療用医薬品)が、研究開発から臨床試験等を経て実際に承認~販売されるまでに、製薬企業には膨大な時間とコストが要求されます。にもかかわらず、製薬企業は、市販薬やその他の消費財と異なり、自らの判断のみで、その価格を決定することはできません。処方薬は国が定めるの社会保障上の医療制度の一部に組み込まれているからです。他の産業と明らかに異なるこうした現状を予め把握しておくことは、皆さんの通訳業務をスムーズに行う際、確実なアドバンテージになると思います。セミナーでは、「医薬品」、「医療制度」、「製薬産業」の概況と、我々の業界特有の専門用語などをわかりやすくお話しします。

3)招待講演 Vol.2

「医学通訳者を起用する側の視点~起用体験エピソードに基づく期待とは?」
梅田一郎氏(新時代戦略研究所 理事長 前ファイザー株式会社代表取締役社長)
1987年慶應義塾大学大学院経営管理研究科卒、
1980年台糖ファイザー株式会社(現ファイザー株式会社)入社。
2005年経営企画担当取締役、07年医薬営業担当取締役、09年常務執行役員、プライマリー・ケア事業部門長。
同年12月ファイザー株式会社代表取締役社長就任、18年退職。
同年、新時代戦略研究所の一般社団法人化に伴い、理事長に就任。

【講演者からのメッセージ】
40年近くファイザー社の日本法人に勤務し、MR職からトップマネジメントまで務めさせていただきました。この間、通訳者の皆さんには世界を代表する製薬企業としての事業戦略の構築や、メディカル・サイエンス分野での最新の知見をもって医療関係者をはじめとするステークホルダーとコミュニケーションをしていく際に、様々な形で支援と協力をお願いしてきました。日本という独特な言語・文化圏で外資系企業が信頼を得るには、優れた通訳者の存在が欠かせないのです。グローバル化が一層進む時代の通訳者に望まれる姿勢などをざっくばらんにお話しします。

プログラム

12:30
開場~受付開始
13:00
開会 (開会挨拶・司会進行:GHCC代表世話人 後藤礼二郎)

第一部 講演会

13:05-13:35
「”医学通訳”になるために必要な方法・手段とは?」
北山ユリ氏
13:35-14:05
「医療・製薬業界の基礎知識~理解度によって医学通訳のクオリティが変わる」
箕部泰生氏
14:05-14:35
「医学通訳者を起用する側の視点~起用体験エピソードに基づく期待とは?」
梅田一郎氏
14:35-14:45
休憩

第二部 実践ワークショップ モデレーター:北山ユリ氏

14:45-16:20
実際に医学通訳の仕事が入ったケースを想定し、北山ユリ氏とゲストによるロールプレイを行います。
~どのような打合せを行い、どのようにドクターから通訳に必要な情報を入手すればよいか?
~学会動画などを題材に、会場から募った聴講者による「模擬通訳」トレーニング
16:20-16:30
講評
16:30
閉会
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